介護保険の仕組みと費用


モデル開設

 4月1日のスタートが目前に迫った介護保険制度だが、仕組みが複雑で、どんなサービスをどのくらいの費用で受けられるか、分かりにくいのが難点だ。そこで、主なサービスの単価と厚生省が示した標準モデルに従って、介護サービス計画(ケアプラン)の例を見ることにする。

(表1)

1ヵ月の利用限度額

要支援   61500円
要介護1 165800円
要介護2 194800円
要介護3 267500円
要介護4 306000円
要介護5 358300円

訪問周6回入所2日など/「要介護1」で月1万6000円

(表2)

主なサービスの単価(標準地域)

 

種     類

内   容

単  価

 

 

 

 

訪問介護(30分以上1時間未満) 身体介護   4020円
家事援助   1530円
複合型   2780円
訪問看護(同上) 医療機関利用   5500円
訪問リハビリ(1日)     5500円
通所介護(4時間以上6時間未満) 特養ホーム利用   4730円
通所リハビリ(同上) 医療機関利用   5750円
短期入所(1日) 特養ホーム利用   9420円

 

 

特別養護老人ホーム(同上) 新規入所者  7960〜
  9740円
老人保健施設(同上) 新規入所者  8800〜
10800円
療養型病床群(同上)   11260〜
12990円

(表3)

要介護1のケアプランと費用の例(1ヵ月当たり)

種     類

単  価

回 数

合   計

訪問介護(身体介護中心) 4020円 20回   80400円
訪問看護(医療機関利用) 5500円   4回   22000円
通所リハビリ(医療機関利用) 5750円   4回   23000円
食事・送迎・入浴加算 1220円   4回     4880円
福祉用具貸与(車イス) 7000円   −     7000円
短期入所(特養ホーム) 9870円   2日   19740円
月額合計     157020円
自己負担       15702円

  制度の利用を希望する高齢者やその家族は、市町村に申請して介護が必要かどうか認定を受ける。ここで「要支援」「要介護(5段階)」と認められると、ランクに応じた利用限度額(表1)の範囲内で、自宅で介護サービスを受けたり、特別養護老人ホームなどの施設に入所できる。

 在宅介護を希望する場合は、介護支援専門員と相談しながら、様々なサービスを組み合わせてケアプランを作る。主なサービスの単価を表2に示した。ただし、これは標準地域のもので、人件費の高い都市部や事業者が参入しにくい離島や山村では割増される。

 ここでは、「要介護1」と判定された場合のケアプランの例(表3)を見る。これだと、1ヵ月の自己負担は約1万6000円だ。

 厚生省が示したモデルでは、「要介護1」の人は、訪問介護を週5回、訪問看護を週1回、通所リハビリを週1回利用すると想定されている。短期入所は半年で2週間利用できるが、毎月平均的に利用したと仮定すると、1ヵ月当たりの利用日数は2日間になる。

 訪問介護は在宅サービスの柱になるもので、ホームヘルパーが排せつや入浴、食事を手助けする「身体介護」と掃除や洗濯を手助けする「家事援助」、両者の「複合型」がある。

 訪問看護は、医療機関や訪問看護ステーションから、看護婦が派遣される。

 通所リハビリは、医療機関と老人保健施設を利用できる。施設への送迎、食事、入浴は別料金だが、介護保険でカバーされる。

 短期入所は、家族が旅行に出る場合などに、高齢者を施設に一時預けるもの。特別養護老人ホームか、老人保健施設を利用する。回数は半年単位で決められており、1ヵ月にまとめて利用することもできる。ただ、そうなると1ヵ月の利用限度額をオーバーする例も出てくるため、厚生省ではバランスのとれたプラン作りを指導する方針だ。

◇          ◇

 入所サービスの対象施設は、寝たきりや痴ほう症の人が対象の特別養護老人ホームと、リハビリや医学的な治療・介護をする老人保健施設、普通より介護職員を強化した病院である療養型病床群がある。

 入居者は自らの要介護度に応じた介護報酬の1割と、定額の食費(一般で1日760円)を負担する。

利用者負担に上限

 介護保険制度では、サービスの費用が家計を過度に圧迫しないよう、自己負担の上限も決められ、超過分は払い戻される。

 世帯当たりの自己負担上限は、一般世帯で月3万7200円、市町村民税の課税対象者がいない世帯は2万4600円、生活保護や老齢福祉年金を受けている人は月1万5000円だ。

 これは世帯当たりの額なので、同じ世帯にサービス利用者が複数いても、この上限を超えて負担することはない。ただし、上限額の対象にならない費用もあるので、注意が必要だ。(金賢記者)

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