創作童話 ― 「タングンの国へ行ったハルベ」/金順※(※=石の下に乙)


 ポンちゃんは5歳のかわいい女の子。

 ポンちゃんの家族は、去年の9月から4人が3人になりました。一緒に暮らしていたオンマの方のハラボジが亡くなったからです。

 ハルベが入院していた半年の間、ポンちゃんは幼稚園から帰ってきた足で、オンマと病院へ行ってハルベの手足をなぜてあげたり、入れ歯も洗ってあげました。時々ハルベのとなりでお昼寝もしました。

 ハルベはポンちゃんを心から愛していたので、ポンちゃんの顔を見るとニッコリ笑ってほっぺをなぜてくれました。

 だけどハルベは肝臓ガンでした。日増しにやせ細り、ポンちゃんが来ても笑えず険しい顔になって行きました。

 ポンちゃんは病院へ行きたくなくなりました。「オンマ、お留守番してるから1人で行ってきて…」。するとオンマが言いました。「ポン、もうハルベと一緒に過ごせる時間が少ししかないんだよ。出来るだけそばに居てあげよう」

 ポンは仕方なくオンマについて行きました。オンマもポンがいるから気を張って看病してきたのでした。

 数ヵ月後の、にわか雨が降り雷が轟いた9月8日。ポンが幼稚園から病院に駆けつけ、口にお水を含ませた後、ハルベは眠るように息を引き取りました。

 ポンちゃんは分かりませんでした。

 ハルベを抱いて泣き叫ぶオンマの姿にびっくりして、オンマが心配になって太ももを抱えてハルベから引き離そうとしました。

 9月11日、ポンちゃんがとても楽しみにしていた「童夢21フェスタ―みんなあつまれタングンまつり」の日は、ハルベの告別式の日でした。ポンちゃんは、ハルベの魂がタングンと一緒にウリナラに飛んでいけるといいなと思いました。ハルベが亡くなってから、ポンちゃんは「死ぬ」ということがこわくてたまらなくなりました。そして、夜になるとしくしく泣きながら「オンマ、先に死んじゃ駄目だよ。ポンと一緒に死のうね」とオンマを困らせるのでした。

 オンマは親友が送ってくれた「葉っぱのフレディ」という本を読んであげました。そこには、生命は繰り返し生きるとありました。「ハルベも生きかえるの?!この家にまた、来るの」とポンちゃんは眼をキラキラさせました。


 2000年のお正月、ポンちゃんは不思議な夢を見ました。アボジにそっくりな龍に乗って、空を飛んでいると、遠くから「タングンマーチ」が聞こえてきます。

 ぼくの名前はタングン/初めての王子さま/兎のウリナラ大好き/お空でみているよ

 そして、突然、タングン、コムドリ、ホランイが現れて、「ポン、アンニョン!」と言いながら、抱っこしてくれました。そして、花畑まで連れて行ってくれました。そこには、ハルベがいました。ポンちゃんは「ハルベー!」と大きな声で呼びました。すると、「ポーン」と言ってハルベが頬ずりしてくれました。

 ポンちゃんはほっぺがくすぐったくて目を覚ましました。ポンちゃんはこの日から、ハルベに会いたくなったり、怖くなったりすると、空を見上げて、「タングンマーチ」を歌うことにしました。

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