各地で確定申告スタート
「親身な対応」心掛け
地域の商工会−きずな築き、深める場に
「気許せる、頼もしい」 強い信頼
日本各地で確定申告の真っ最中である。今年は、所得税については来月15日まで、個人消費税については同31日までが受付期間となっている。この期間は、各都道府県・地域の商工会にとって1年で最も忙しい時期。各地では同胞商工人を対象にした受付作業を始めており、職員は対応に大わらわだ。一方、商工人のほうも、申告の手順や内容はもちろん、融資の受け方など商売全般に関する率直な質問をぶつけるなかで、親身に接する地元商工会への信頼を深めている。21日から受付を始めたアメ横などのある、東京・上野の台東商工会を訪ねた。
制度融資に関心
台東商工会では常時、部長以下、6〜7人の役員が台東朝鮮会館講堂で待機し、申告の相談に訪れる商工人に対応している。
商工会ではこの日に備えて、税務講演会を開き、今回の申告のポイントである税制改正の中身について説明を受けるなど、準備を進めてきた。
この日は、経理室勤務の李一守さんをはじめ若手職員が中心となって、申告相談に応対していた。李さんは22歳だが、簿記1級の資格所有者だ。
訪れた商工人は、手続きを進めながらも様々な質問をぶつけてくる。李さんによると、深刻な不況で銀行からの融資が難しいなか、制度融資に対する関心が年々高まっており、商工人からの質問も、融資の受け方に関する説明や、実際に融資のあっせんを求めるものが増えているそうだ。
「商工会は血液」
だが、こうした実務的な問題以上に、商工会が常に心掛けているのは、同胞に親身に応対する姿勢だ。
高元芳会長は、「商工会は総聯組織の『血液』のようなもの。日本社会で生きていくうえで必要不可欠です」と自負する。常に商工人の立場に立ち、商売がしやすくなるように便宜を図る。当たり前のことだが、商工会はこうしたなかで信頼関係を築いてきた。
地元の商工人たちも、その姿勢を高く評価する。申告に訪れた、アメ横で雑貨店を経営する趙房子さんは、「私のような知識の乏しい人に対しても、商売のアドバイスなど細かな相談に応じてくれる」と語る。
「同じ同胞なので気が許せるし、分からないことがあっても何でも聞ける。商工会は同胞にとって、なくてはならない組織。頼もしいですね」
奮闘する商工会と、頼りにし信頼を寄せる商工人。年に1度の確定申告相談の場で、両者の絆はより深いものになっている。 (関連記事、柳成根記者)
円滑な申告作業へ
講演など準備様々
各都道府県・地域の商工会では、万端の態勢を整えて確定申告に臨もうと、正しい知識と円滑な申告手順をレクチャーする税務講演会や学習会の場を、年末から相次いで設けてきた。
大阪府商工会では、確定申告の受付開始前日である15日までに、府下26地域で税務講演会を終了。群馬や千葉、兵庫、福岡などでも県商工会の主催による税務講演会が開かれ、地元商工会とタイアップして合理的な申告を心がけるよう呼びかけた。
一方、埼玉県商工会では4日から18日にかけて、「地域を中心に県本部、商工会とのきずなを深めたい」と、県商工会の洪誠一会長と総聯県本部の安正一委員長が県下各地を回り、申告書づくりに奮闘する商工人をねぎらった。