知っておこう「確定申告」
正しい手続きで節税効率アップ


 今年も確定申告の季節がやってきた。だが、自営業の人などにとっては毎年恒例の行事であっても、サラリーマンのように自分で実際に申告をした経験がない人にとっては、今一つ、なじみが薄いのも事実だろう。そこで、確定申告とは何か、そして今年の確定申告のポイントについて、簡単におさらいしてみた。

最高税率引き下げ、定率減税など
税制改正に対応を

            改正された所得税率

     課税所得金額     改正前の税率    改正後の税率
              (1998年分まで)  (1999年分以降)

 330万円以下          10%  →     10%

 330万円超、900万円以下   20%  →     20%

 900万円超、1800万円以下  30%  →     30%

 1800万円超、3000万円以下 40%    →          37%
 3000万円超          50%                    
 

 

     1999年分の扶養控除などの金額

(1)基礎控除                                   38万円
                 

(2)配偶者控除  一般の控除対象配偶者         38万円
                老人控除対象配偶者           48万円
            

(3)扶養控除   一般の扶養親族               38万円                 特定扶養親族                 63万円
             年少扶養親族                 48万円
               老人扶養親族
                           ・同居老親等以外の者  48万円
              ・同居老親等     58万円

(4)障害者控除  一般の障害者                 27万円                特別障害者                   40万円            同居特別障害者               75万円
              

(5)老年者控除                                 50万円
                       

(6)寡婦控除   一般の寡婦                   27万円             特別の寡婦                   35万円
               

(7)寡夫控除                                   27万円
                       

(8)勤労学生控除                               27万円

(いずれも朝鮮商工新聞1月4日より抜粋)

確定申告とは?
税額を確定すること

 確定申告とは、その名の通り「支払う税金の額を確定するための申告」を指す言葉である。

 自営業の人やアルバイターなど、仕事をして稼ぎがある人は、基本的に全員しなければならないものだ。サラリーマンの場合は勤め先の会社でしてくれるので、自分でする必要はない。

 ただし、サラリーマンでも例外として、年収が2000万円以上の人や本業以外の収入が20万円以上の人は、それに対する確定申告を自分でする必要がある。また、自営業であっても、所得(収入から必要経費を引いた額)が年間38万円以下の人には所得税がかからないので、確定申告をしなくても良い。

 このほか、自分で確定申告をしなければならないケースはいくつかある。

 例えば、課税対象外として扱われる分である所得控除のうち、地震や台風、火事などの災害や、盗難の被害に遭った場合に対象になる雑損控除は、会社で年末調整をしてくれるサラリーマンの場合は自分で確定申告をしなければならない。これを還付申告と言う。

 また、養う家族の年齢や人数などによってそれぞれ一定の控除額が付く扶養控除の対象になっている人でも、パートやアルバイトで103万円以上の収入があれば確定申告が必要だし、この時、主婦の場合は配偶者控除の対象外となる。

 確定申告をして税金徴収額が多いと、還付金を受け取れる。還付金とは、税金として払い過ぎた分を払い戻してもらえるお金。自営業では所得税のうち一定額を「予定納税」の形で前払いした場合、またサラリーマンは源泉徴収で前払いした場合、確定した徴収額との差額が還付される。

申告のポイントは?
減税・控除の把握

 1999年分の税金額を確定する今年の確定申告で大きなポイントとなるのは、大幅な税制改正だ。これから確定申告に臨む人は、改正点をしっかりと把握したうえで、改正に対応した申告をスムーズに行うことで、大幅な節税効果が期待される。

 今回、大きく改正されたのは、所得税の最高税率が引き下げられた点だ。具体的には、年収から必要経費と基礎控除を引いた課税所得金額が1800万円以下の場合は、かかる税率に変わりはないが、1800万円を超える場合は一律37%まで引き下げられた。

 また、最高税率の引き下げによって高額所得者の負担が軽くなることから、低所得者の負担もあわせて軽くするために、99年分の所得からは定率減税が導入される。98年分までは定額減税が採用されていた。定率減税は、税金額の一律20%相当額を減税するというもので、減税額の上限は25万円。

 さらに注目すべき点として、所得控除の1つ、扶養控除の改正が挙げられる。扶養控除とは、養う家族の人数によって還付額が増えるというもの。これまでは、16歳から22歳までの子供と70歳以上の高齢者がいる場合、一般扶養控除額の38万円にプラスアルファされていたが、16歳未満の子供の枠が新たに追加された。

 所得控除には、前述の基礎控除(納税者全員に無条件で認められている控除)をはじめ、扶養控除、雑損控除、配偶者控除、障害者控除、医療費控除など15種類ある。また、住宅を購入したり増改築を行った人は、条件を満たせば住宅ローン控除が受けられる。これらの適用をもれなく利用し、課税所得金額を算出することが大切だ。

 消費税の申告については、改正がないので98年分の申告と内容は同じ。基準期間(97年)の課税売上高が3000万円を超える人に申告義務がある。

 ※控除〜支払う税金の額を計算する際に、課税対象から差し引くこと。例えば配偶者控除なら、配偶者の年齢などによって、いくら差し引かれるというのが決まっている。