日本軍性奴隷(従軍慰安婦)制を裁く「女性国際戦犯法廷」
8〜12日、東京で開催

日本政府の責任を追及

被害者の尊厳回復をめざす


 日本軍性奴隷(「従軍慰安婦」)制を裁く「女性国際戦犯法廷」が8日から12日まで東京で開かれる。被害国である北南朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシアと、加害国日本の女性たちが主催するものだ。「法廷」では、日本軍性奴隷制が戦争犯罪であることを、改めて被害者の証言と具体的な証拠とともに明らかにし、同時に20世紀を目前とした今も植民地支配の一切の法的責任を回避する日本政府の責任を厳しく追及し、被害者の尊厳回復をはかる。(関連記事

朝鮮人被害者33人参加/国際法の権威が「判決」

 「『慰安婦』被害者一人ひとりが日本政府から公式の謝罪の言葉も国家としての償いも受けることなく、苦痛と屈辱の人生を閉じていく。彼女たちに対して心の痛みも反省もなしに、安穏に老後を生きる日本軍の元兵士たち。なぜ加害者は裁かれないかを問うのは当然である。その訴えに、問いに、加害国の女性として応えたいという思いが『女性国際戦犯法廷』の原点だ」(「法廷」の開催を提案した、「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの松井やより代表)

 日本の植民地支配のもと、朝鮮半島から8〜20万人の女性が「従軍慰安婦」として強制連行されたといわれる。90年代に入り、南朝鮮の金学順さん(故人)をはじめ、被害者たちの勇気ある発言が相次ぎ、日本軍性奴隷制問題は国際的な人権問題として浮上、大きな世論のうねりを作りあげた。

 国連人権委員会にも上程され、98年8月に差別防止・少数者保護委員会で採択されたマクドゥガル特別報告者の報告書は、奴隷制犯罪と断定し、日本政府に「慰安婦」制度に関わった責任者の処罰と被害者への国家賠償を求めた。

 しかし、日本政府は、この報告書を無視し、いまだに実行していない。今回の「法廷」の目的は、「慰安婦」問題の被害の実態と日本政府の法的責任を断定することにある。

 もちろん、同「法廷」に法的な効力はない。しかし、「法廷」での判決は人道的、倫理的効力を持ち、それは日本政府に対する厳しい世論となるだろう。

 「法廷」では、国際実行委員会が定めた「法廷憲章」をもとに、各国の検事と首席検事が起訴状を作成し、加害国と被害国以外の専門家で構成される裁判官が国際法に基づいた判決を下す。検事や裁判官は、世界で初めて戦時性暴力を裁いた旧ユーゴ国際戦犯法廷の前所長であるマクドナルド氏(米国)、インド前最高裁長官のバクワティ氏など、国際法の権威が担当する。

 朝鮮半島からも被害者と関係者らが一堂に集う。北からは被害者2人を含む「『従軍慰安婦』・太平洋戦争被害者補償対策委員会」の代表ら10人が、南からは31人の被害者を含む「韓国挺身隊問題対策協議会」の代表ら223人が参加する。(問い合わせ=バウネットジャパン рO3・5337・4088)

北南朝鮮、共同起訴状提出/責任者処罰に審判
「韓国挺身隊問題対策協議会」 尹貞玉共同代表の話

 今回の「法廷」には、朝鮮人被害者の証言に基づき日本軍性奴隷制問題を追及してきた北南朝鮮の民間団体が共同で起訴状を作成、提出する。「法廷」の国際実行委員会代表を務める、南側の尹貞玉・「韓国挺身隊問題対策協議会」共同代表に話を聞いた。(李文喜記者)

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 私たちは、祖国分断という悲劇の中で生きているが、被害者たちが日本軍に連行された植民地支配時代には北も南もなかった。彼女らは、「朝鮮の少女」だったゆえに連れ去られた。

 65年の「韓日条約」では、過去の日本の植民地支配に対する責任が一切問われなかった。よって、南北の共同起訴状には、「韓日条約」には「慰安婦」問題が含まれなかった、とはっきりと明記した。

 日本政府は謝罪、補償などの法的責任を回避し、いわゆる「民間基金」による「解決」を主張しているが、金銭的な方法ではこの問題は絶対に解決できない。日本政府自身が、「慰安婦」制度を「日本軍性奴隷」制であることを認め、謝罪し、国家賠償を果たすべきだ。

 南では、現在まで192人のハルモニたちが「日本軍に連行された」と証言した(北は218人)。しかし、すでに50人がこの世を去った。彼女たちは息を引き取る前にこう言った。「このままでは死に切れない…」と。自ら命を断った被害者もいる。

 多くの被害者が日本を相手に訴訟を起こしたが、裁判はすべて敗訴した。日本の司法は日本政府の責任を否定したのだ。

 だから、世界の女性と人権団体が、良心に基づいた道徳の法廷を開く意義は大きい。被害者の名誉と尊厳を回復するため、責任者処罰の審判を下すのだ。

 世界的に著名な法律家たちが1人の人間として「法廷」に立つことを受け入れた。個々人の自由な意思が判決を下すのだから、透明でうそがないだろう。(ユン・ジョンオク、75歳)

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