性奴隷制裁く「女性国際戦犯法廷」
責任者処罰 そして女性の尊厳のために
日本政府に「謝罪と賠償」の圧力を 今世紀最後の月、12月8日から12日まで東京で2000年「女性国際戦犯法廷」(女性法廷)が開かれる。今世紀最大の戦時性暴力である日本軍性奴隷制の被害女性の正義と人権を拒む日本国家を裁く民間法廷である。いよいよ審判の時が来たのだ。(李文喜記者) ―裁かれぬ戦争責任 戦後50年以上もの間、日本では「戦争責任」はタブーとされてきた。日本は敗戦後も「天皇」と「天皇制」を守るそのことに全ての関心を注いできた。戦後まもなく開かれた東京裁判はその延長線上にあり、またアメリカの占領政策のもとに開かれた「虚構の裁判」と言える。それは同時にアジア太平洋地域における日本の植民地支配や「慰安婦制度」、人体実験などで知られる「731部隊」など全ての戦争責任を放置したまま終わったのである。 植民地支配のもと、20万人もの朝鮮人女性たちが「皇軍将兵への贈り物」として「皇軍」すなわち天皇の軍隊の「慰安婦」として連行され、強かん、虐殺された。戦時下で行われた「慰安婦」制度なる性奴隷制は女性への暴力であり、犯罪でありそれは紛れもない戦争犯罪である。人間を人間としてではなく動物や物のように扱い、殺してしまう。そして戦後はボロ雑巾のように戦場に打ち捨てられた女性たちもいる。 身体と心に深い傷を負った被害者たちの重い記憶を導き出し、心を癒し、分かちあったのは南朝鮮はじめ世界の女性活動家たちであった。 ―女性の解放のために 現在、南北朝鮮には約300余人の被害者のハルモニたちが暮らしている。すでに百人近い女性たちが心の傷を癒すことなくこの世を去っていった。臨終に彼女たちが口にする言葉―「日本政府に法的責任を取らすまでは死ねない…」。ハルモニたちの無念の思い。 彼女たちが半世紀の沈黙を破り、自らを「従軍慰安婦だった」と明かすことは計り知れない勇気ある行動であった。被害者が名乗り出て、心の傷を公にし、同時に加害者の責任を明確にさせることは今も苦痛の中に生きている彼女たちの尊厳を回復するだけでなく、女性に対する暴力のない21世紀を創るうえで計り知れない力となるだろう。 20世紀が終えんを迎えようとする今、加害国日本は、自らの手でただ1人の戦犯も裁かず、侵略戦争や植民地支配を正当化する勢力が台頭しつつある。そのさなかに開かれる「女性法廷」の意味は大きい。 高橋哲哉東京大学助教授は「女性法廷」の歴史的意義について「女性に対する軍事的性暴力への裁きを通して、昭和天皇の戦争責任に迫り、植民地支配の実態を明らかにしようとするものである」と高く評価する。たとえ判決に法的拘束力がないとしても責任者を明らかにすること、真実を世界に発信すること、そして「日本政府に謝罪と賠償をさせるように圧力をかけること」(パトリシア・V−セラーズ「女性法廷」首席検事)に最も重要な意義があると思う。 ※日本軍性奴隷制を裁く女性戦犯法廷が、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETJapan)、南北朝鮮など国際実行委員会によって、8〜12日に東京で開かれる。「法廷」の成功のために個人1口2000円以上の基金を募っている。送金先は郵便振替口座 00120―3―31955、VAWW―NETJapan。 |