新潟県民の会

「助成からの排除は差別」

朝鮮学校の処遇改善求め
全国連絡会の結成呼びかけ


 朝鮮学校の処遇改善を求める日本市民の声が高まるなか、「朝鮮学校を支援する新潟県民の会」の第6回総会が15日、新潟朝鮮初中級学校で開かれ、日本政府が朝鮮学校を学校教育法上の「1条校」に準ずる学校として扱っていくよう、全国規模で運動を展開していくことを決めた。また同日同校では、公開授業の後、「第5回朝・日文化交流」が行われ、過去最多の1000余人が参加した。 (関連記事

同等のカリキュラム

 同会は、新潟初中の父母連絡協議会が、94年2月に始めた朝鮮学校の処遇改善を求める5万人署名運動に協力しようと同年4月、新潟県平和環境労組会議や日朝友好連絡県民会議、県高校教職員組合などが組織したもの。

 朝鮮学校は「1条校」の枠外にあり、「各種学校」扱いとされているため、日本政府からの公的助成は一切ない。同胞父母らは処遇改善を求める運動を行政に対し展開。その結果、「日本の小、中学校に当たる学校で実体も各種学校とはちがう」などの理由から、新潟市では92年度から同校に「私立学校運営費補助金」の名目で年間100万円、生徒1人に対し同3500円の助成を、県も93年度から「私学専修学校等運営費補助金」などの名目で助成(現在年間1人あたり1万7000円)を実施した。

 しかし、これらの助成は、県が私立中学に支給している1人あたり24万830円とは大きな隔たりがあり、その20分の1にも満たない。

 同日の公開授業を参観した県内の小学校教員、田中博徳さん(30)は、「カリキュラムは日本の学校と何ら変わりない。また、朝鮮学校では、日本の学校と同じ6・3・3・4制を実施している。にもかかわらず、日本学校と同じ助成を受けられないのは差別であり、不公平だ」と語る。

 学父母の1人、朴正代さんは「在日朝鮮人は納税など日本人と同じ義務をはたしている以上、日本の私立学校と同じくらいの助成を受ける権利がある。財政的負担が大きいとの理由で朝鮮学校へ送りたくても送れない父母もいる」と言う。

 同会は94年の発足以来、県知事や県議会、新潟市長や全県の市町村議会に処遇改善を求める陳情なども行ってきた。94年には6万5000人分、96年には約7万人分の署名を集め、県議会に提出した。

 さらに98年9月、同校が体育館を改築する際、「ら致疑惑」騒動によって県からの助成金が支給寸前に取り止めとなったが、同会ではほかの15団体などに呼びかけ、約2600万円を同校に寄付した。

「特別地位」の枠内で

 総会では、同会代表の多賀秀敏・早稲田大学教授と総聯新潟県本部の金鐘海副委員長がそれぞれあいさつ。多賀代表は、「なぜこの地に朝鮮学校があるのかを認識しなければいけない。日本人として恥ずかしくない歴史を未来に残していくためにも、この運動を続けていこう」と呼びかけた。金副委員長は、「先の第10回朝・日国交正常化交渉で提示された在日朝鮮人に対する補償と特別地位保障問題もそうした流れの中で解決されるべきだ。日本市民らの協力を得て解決に努めたい」と語った。

 同会では今後、全国規模での運動展開を目指し、「朝鮮学校を支援する全国連絡会(仮称)」の結成に全力を注ぎ、国会議員らとの協力、県弁護士会との連携を図っていく構えだ。(李明花記者)

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