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民族の言葉を巡る現況は/連載「朝鮮語を学ぶ」、次号で100回


 本紙で連載中の「朝鮮語を学ぶ」が、次号で100回目を迎える。朝鮮語の会話を基礎から考えるこの連載開始からこれまで、要望・指摘など読者から様々な反響があった。大部分が学習材料としての使い勝手に関するもので、要望を寄せた人の中には、朝鮮語を学ぶ本人もいれば、身の周りの人に教えたいという人もいる。在日同胞社会で世代交替が進み、朝鮮語を継承していく問題はますます深刻化している。だが、少なくない同胞らが、民族の言葉を大事に思っているのも事実だ。朝鮮語を巡る現況を探ってみた。(賢、関連記事

 

望まれる触れる機会/朝鮮人としての自覚

 「文法は日本語に似ているから、英語ほど難しくない。でも馴染みのない単語を一つひとつ覚えるのは大変」

 日本の高校に通いながら、朝青東京・足立支部で朝鮮語を学んでいる高迦耶さん(16)はこう話す。一緒に勉強している友人の高玉蓮さん(17)も、同意見だ。

 日本各地にある朝青本部・支部では、朝鮮学校出身の朝青員がボランティアで講師を務め、日本の中学、高校に通う同胞学生らに朝鮮語を教えている。足立支部では、週に1回のペースで、5〜6人が集まる。

 2人の高さんは、朝鮮語を習い始めて2年以上になる。だが、あいさつなど簡単な言葉を話す段階から先にはなかなか進まない。原因は、「少しづつ水準を上げていくステップをきちんと踏んでいないから。支部以外では朝鮮語に触れる機会がないのも問題」(迦耶さん)だ。

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 足立区は日本でも有数の在日同胞の集住地域だが、高さんたちが町で朝鮮語の会話を聞くことはないという。日本で最も同胞が多い大阪市生野区でも、事情は似たりよったりだ。

 生野西商工会では、昨年1月に季刊の会報「ポラム」を創刊。第2号から、朝鮮新報の「朝鮮語を学ぶ」6回分を転載している。担当の尹○洙総務部長(○は王へんに工)は、「地域には朝鮮語を話せない同胞も多い。せっかく大勢が集まって暮らしているのだから、せめて簡単な言葉でも朝鮮語を交わせるようになればいいと思った」と語る。

 約60万人の在日同胞のうち、朝鮮語を話すのは1世と朝鮮学校出身者を中心に17万人ほどだと見られている。だが、そうした人だけが集まる状況の方が珍しくなったこんにち、朝鮮語が話されることが極端に少ないのは、やむを得ないものと言える。

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 それでも、学びたいとの思いは絶えない。高玉蓮さんは朝鮮語を学ぶ動機について、「朝鮮人としての自分の考えを、朝鮮語で話せないのが悔しいから」と言い切る。高迦耶さんも同様で、「日本人の友達から朝鮮語を話してみて、と言われ、できないとは言いたくない」のだという。

 在日同胞社会では、朝鮮語が共通言語として使われる場が減っていると言わざるを得ない。それでも、民族固有の言語であることは変わらない。その事実は、朝鮮人として生きたいと願う在日同胞にとって、切実な問題であり続けるだろう。在日同胞にとって、朝鮮語を学ぶことは今後も、自らのアイデンティティや人生観の探求に、深く関わって行くのではないか。

 

執筆者 朴宰秀氏のコメント

 世代交替が進み、朝鮮学校でも学生らの朝鮮語の水準が落ちていることは否めない。それでも、祖国で受ける講習で講師の言葉をすべて理解できる能力は備えている。またそれが、民族的アイデンティティの確立にもつながっている。これが在日同胞にとっての朝鮮語教育の本質的な意義であり、単なる言語学習とは異なる点だ。(談、朝鮮大学校文学部副学部長)

 

読者の反響から

 ■「パンフにする予定はないのか。朝鮮語を知らない若い世代の同胞に普及したい」(総聯支部委員長・三重県)

 ■「支部で、日本の人たちに朝鮮語を教えるのに教材として使っている」(主婦・東京都)

 ■「孫のために記事を毎号スクラップしている」(1世同胞・西東京)

 ■「子供たちは全員朝鮮大学校で学んだ。今後、孫も朝鮮学校に入学する予定だ。昔、成人学校で教わったことはあるものの、一家で朝鮮語を知らないのは私だけなので、記事に目を通すようにしている」(男性・栃木県)