大阪で民族性守るための近畿地方会議
「在日同胞の民族性を守るための近畿地方会議」が3月29日、大阪市内のホテルで開かれ、各界各層の同胞ら320余人が参加した。1月末の東京での会議に続くもの。在日同胞の民族意識が薄れていく現状に警鐘を鳴らし、とくに同胞人口の多い近畿地方で民族性を守るための運動を繰り広げるための対策と方途を討議しようと、33人が発起人となって開かれた。会議では、在日同胞への呼びかけ文(東京会議と同内容)と決議文が採択された。
民族教育、同胞結婚 運動を各地へ
歴史学者の朴鐘鳴氏は基調報告で、民族は最も強固な運命共同体であり、民族性と民族自主精神は民族構成員1人1人の生命にも等しいと強調し、若い世代の間で民族意識、民族精神の稀薄化が進んでいるのは世代交替と関連してはいるが、より大きな原因は、日本当局の同化政策と民族内部で起きている棄民政策にあると指摘した。
そして、在日同胞の民族性を守るために @民族精神を継承し、高め A在日同胞社会で民族性の固守、発揚を阻害する現象に反対――するための運動を提起。民族教育をはじめとした教育の場を数多く設け、同胞結婚を奨励しようと述べ、在日同胞の約半数が住み、ちょうど50年前、民族教育に対するGHQと日本政府の弾圧とたたかった4・24教育闘争の歴史を持つ近畿地方がまず運動の火をつけ、各地に広げていこうと呼びかけた。
人権運動家の崔哲教氏が「民族性問題と私の経験」、教育者の高奉淀氏が「私の体験を通した民族性と民族教育」、雑誌編集者の金昌宣氏が「参政権問題と民族性問題に対する私見」、在日韓國文人協会会長の金里博氏が「在日ハンギョレ(一つの同胞)のハンオル(一つの魂)を育むために」、兵庫結婚相談所副所長の諸美喜氏が「代を継いで民族性を守るための私の経験」と題して発言した(別項に要旨)。
同会議には、趣旨に賛同した自主平和統一民族会議、新市民運動連合、韓国民族青年会、民族精気守護協議会など、南朝鮮の各団体からもメッセージが寄せられた。
発言内容
日本人化強要する「参政権」/崔哲教(人権運動家)
「参政権運動」は日本政府の同化、帰化政策と、南朝鮮当局の棄民政策との密接な連携の中で行われている。「参政権」は、われわれに日本人のように生きることを強要する。同胞社会の消滅につながりかねない「参政権運動」を中止し、民族性を守る運動を展開していこう。
4・24精神で民族教育を守ろう/高奉淀(教育者)
朝鮮学校は在日同胞が民族性を守るための懐であり、土台である。こんにち、日本政府の差別などによって学生数が減少し、民族の代が途絶える危険性が迫っている。4・24教育闘争の時に発揮した精神で団結し、民族教育を守るために立ち上がろう。
朝鮮人として生きる事が出発点/金昌宣(雑誌編集者)
朝鮮人として生きていくことが、在日朝鮮人の権利問題の出発点にならなくてはいけない。しかし「参政権」を提唱する人々の主張には、この出発点と歴史認識、民族意識が欠けている。日本政府が過去の歴史を清算していない条件の下で、「参政権」を求めるのは本末転倒だ。
重要な1世たちの役割/金里博(在日韓國文人協会会長)
在日同胞が民族性を守るということは、言葉を守り、目上の人を尊敬し、美風良俗を継承していくことを前提とするが、これらは時代に沿って変化し、より豊かになっていくものだ。そのためには、まだまだ1世同胞の役割が重要だと思う。表舞台から退かずに、私たち若い世代が時代の変化に合わせながらも立派に継承できるよう、たくさん教えを授けてほしい。
若者同士の出会う場を増やそう/諸美喜(兵庫結婚相談所副所長)
世代交替に伴い国際結婚が増加している中、同胞結婚は、思想と政見を超越し、必ず解決すべき問題だ。一方で最近、同胞結婚に対するニーズが高まる傾向もある。私たちが、同胞青年どうしの出会いの場を、もっと積極的に増やしてあげなくてはいけない。