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〜法廷の判決・勧告/証言をどう引き継ぐか〜

「生きている間に立法解決を」

日本軍の関与を元兵士として証言し、11月25日に死去した金子安次さんの映像が放映された

  「法廷」から10年。この間、多くの日本軍性奴隷被害者たちはもとより支援者たちも世を去った。5日の国際シンポ第3部では「法廷の判決・勧告/証言をどう引き継ぐか」についてパネルディスカッションが行われた。

 ここでは、尹美香・韓国挺身隊問題対策協議会(挺隊協)常任代表が発言した。尹貞玉・挺隊協初代共同代表から活動を引き継いだ同氏が強調したのは、「依然として日本政府による明確な責任の認定と公式謝罪、法的賠償がなされず、80歳を超える高齢の性奴隷被害者たちが、問題の解決を見ぬまま『どうしたら私たちが生きている間に、この問題を解決できるのか』と叫んでいる」実態についてだった。「日本軍『慰安婦』問題を知らせるためなら死を覚悟してでも、どこにでも出向こうとする高齢の被害者たちの意志と覚悟を考えれば、今私たちが日本国会での立法を通じてできること、すべきことなど、新たな転機をもう一度作っていかねば」と語った。そして、来年は金学順さんが1991年8月14日、「慰安婦」であったと名乗り出て、さらに同年12月、日本政府の謝罪と補償を求め、東京地裁に提訴して20年になると指摘。「来年の8.15祖国解放記念日までには、『慰安婦』問題の立法解決がなるよう力を合わせてたたかおう」と力強く呼びかけた。

会場には「慰安婦」問題を告発する風刺漫画などが展示されていた

 また、旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委の村上麻衣さんが「『解決』への道の途上で」と題して発言した。村上さんは大学時代に、映画「ナヌムの家」を通してこの問題を知ったと述べ、「それまでは過去の戦争で起きたことについて『知って』はいたが、過去のこと、自分とは関係ないものと考えていたことに気付いた」と告白しながら、南の李容洙ハルモニから「証言を聞いた直後はなんとかしなきゃと思ってくれるが、みんなすぐに忘れてしまうでしょ」と言われた言葉に衝撃を受け、活動を続けることを決意したと振り返った。そして、「私たちは被害女性と直接会える最後の世代。『解決』を目指し歩んでいく中で、少しでも肯定的なものを生み出していけるよう、被害女性の残された限りある人生に一つでも『幸せ』を生み出せるよう、そのような積み重ねが未来へつながっていくと信じている」と訴え、会場から大きな拍手を受けた。村上さんはこの日、生後11カ月の娘を連れ、夫とともに参加した。

 一方、沖縄から駆けつけた「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の宮城晴美さんが「沖縄の米軍基地の現状について」発言。戦後65年が経過しても、沖縄には駐日米軍基地の74%が集中し、沖縄本島の約2割が占拠されている」と怒りをあらわにしながら「鳩山政権に続き、菅政権も『抑止力』を大義名分に日米同盟を強化して沖縄県民を裏切った。そればかりか、自衛隊の増強も図られており、沖縄を差別し、犠牲を強いてきた日本の歴史がまた繰り返されようとしている」と日本政府を強く非難した。そして、戦後も米軍による女性への性暴力事件が増加の一途をたどっているが、「事件の発生数がカウントされないことや、訴えない女性が圧倒的に多いため、その数字の背後で、どれだけ大勢の女性が傷つき、泣き寝入りしているかわからない」と述べた。

 さらに同氏は、事件発生のたびに、女性たちが抗議行動を続けてきたが、事件が止まない最大の要因は「沖縄が日本と米国の植民地状態にあり、民族差別、女性差別が続いている」ことにあると断じた。そのうえで、10年前の「法廷に学び、サバイバーをサポートし、告発させる環境を作り、性暴力の連鎖を断ち切るために国際的なネットワークを築くことで問題解決を模索したい」と強調した。(粉)

女性国際戦犯法廷から10年 国際シンポジウム宣言(要旨)

[朝鮮新報 2010.12.10]