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女性国際戦犯法廷から10年 国際シンポジウム宣言(要旨)

 この10年間、私たちはつねに被害女性たちと歩みをともにしながら、解決に向けた活動をさまざまに広げ、数々の成果をあげてきたことを確認したいと思う。国境を越えた連帯行動が広がるなか、まず被害女性たち自身が「被害者」から主体的運動家となって国際社会を動かし、2007年から始まった米下院、オランダ、カナダ、EU、韓国、台湾などの解決を求める各国議会決議や、日本(36議会)、韓国(37議会)、オーストラリア(2議会)の地方議会の意見書・決議の採択等に大きな影響を与えてきた。いまや「慰安婦」問題の解決は、日本―アジア諸国間に留まらないグローバルな課題となっている。

 また、2005年東京にアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)がオープンしたことをはじめ、台湾、中国、フィリピン、韓国(建設中)など各国に運動の拠点としてのミュージアム運動が生まれた。若い世代も含め主体となりアジア各国の被害者を招いて証言を聴く集会が、北海道、岩手、山形、埼玉、東京、神奈川、新潟、静岡、愛知、三重、大阪、京都、兵庫、広島、高知、福岡、沖縄など全国各地に広がった。女性国際戦犯法廷を取り上げたNHK番組改ざんを問う裁判も7年にわたって闘われ、それにより不当な政治介入の事実が明らかになった。

 署名運動、議員ロビイング、国会対策など「慰安婦」問題の立法解決を目指す運動、歴史教科書への記述要請、「慰安婦」記念碑の建立、日本社会や沖縄の米軍基地に現在も続く性暴力問題への取り組み等々、国内外の連帯により多様な運動が各地で繰り広げられていた。今年2月には、全国各地の諸団体・個人により「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動2010」が結成され、11月に61万筆以上の国際署名を持って日本政府への提出行動を行った。このように、問題解決を求める運動は、広がり深まってきている。

 私たちは、正義と人権を求めて立ち上がったサバイバーの意志と法廷の精神を未来の世代に引き継ぎ、無念にも亡くなられたサバイバーや先達を忘れることなく、あきらめることなく、歩み続ける。私たちは、東アジアで一段と緊張が高まる今こそ、平和を創り出すために国境を越えた女性連帯・市民連帯を強めていく。そして限られた時間のなかで解決を待ちわびるサバイバーとともに、「性暴力、民族差別、植民地主義」の克服と結びついた「慰安婦」問題の解決のために、戦争と性暴力が繰り返されない21世紀を創るために、それぞれの生きる場でこれからも力を尽くすことを宣言する。

2010年12月5日
参加者一同

[朝鮮新報 2010.12.10]