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朝大サッカー特設班 祖国で交流会、強化合宿

夢でなくなった国家代表

 【平壌発=琴基徹記者】FIFA(国際サッカー連盟)2010年W杯南アフリカ大会に出場する祖国の代表選手と現地で強化合宿を行っている朝鮮大学校サッカー特設班の学生たちとの交流会が実現した。7月29日、平壌市内のレストランで行われた交流会は、学生たちにとって憧れの選手たちと直接ふれ合うことのできるまたとない場となった。祖国の代表メンバー、そしてW杯出場は、サッカー選手として最高の夢であるが、手の届かない夢ではない。同じテーブルを囲む代表選手との距離の近さがそのことを物語っていた。

格別にうれしい

平壌市内のレストランで行われた交流会

 この日、参加した代表選手は20人。ほぼ全員がそろい、いかにもぜいたくな交流会となった。代表選手を前に、初めは緊張していた学生だが、代表選手たちが語りかけたり料理を取り分けてあげたりするうちに、徐々にときほぐれていったようだ。

 キム・クムイル選手(FW)は、「交流会をもてて本当にうれしい。実の弟のように感じる。朝大生の試合を見たが技術が高い。これからもっと練習を積んで身体を作りスタミナをつけていけばいい選手に育つと思う」とアドバイスをする。

 リ・ジュンイル選手(DF)は、「2005年に九州で試合をしたときに、在日同胞から大歓迎を受け食事をともにしたことを思い出す。そのときは試合に負けて面目がなかったが、W杯出場を決めた後の今日の出会いは格別にうれしい」と満足げだ。

食事中にも代表選手からさまざまなアドバイスを受ける朝大生

 キム・ヨンジュン選手(MF)は、「今日出会った朝大生は、2014年、2018年のW杯に出場できる可能性を秘めた選手たち。同じサッカー選手として同じ舞台に立てればこれほどうれしいことはない」と語る。

 国家代表選手たちが共通して学生たちに語っていたのが、「もっとトレーニングを積んで代表選手になってほしい」ということ。

 記者が「在日同胞の代表選手が増えれば、それだけ祖国の選手が選ばれる数は少なくなるが」と質問すると、リ・グァンチョン選手(DF)は、「これからは祖国と在日同胞の選手がどんどん競争すればいい。われわれももっと努力していく」と答えてくれた。

最高の環境で

あこがれの代表選手と記念撮影

 朝大サッカー特設班が祖国での強化訓練を行うのは2003年の設立以来、今回が初めて。滞在期間は、7月23日から8月11日までで、トレーニングをはじめ祖国のチームとの強化試合、また中学生(11〜17歳)を相手にしたサッカー教室など精力的にスケジュールをこなしている。

 「W杯出場を決めた祖国の高いサッカー技術を学ぶことで、チームを精神的にも技術的にも1ランク、2ランク、レベルアップさせたい」と崔勇海監督は意欲的だ。

 7月27日に金日成競技場で行われた朝鮮のU−20代表チームとの試合は、0−0で引き分けた。強化試合として組まれたものなので、観客のいないなかで行うものと思われた。

 しかし、どこから聞きつけたのか、観客席には4千人の市民がつめかけていた。W杯出場により、空前のサッカーブームが起き、熱狂的なファンが試合のあるところ、どこにでも駆けつけるのだという。この試合は、代表選手たちも観戦に訪れていた。

鯉明水体育団のユースチームとの試合

 特設班は、交流会が行われた7月29日には鯉明水体育団の若手メインのチームと対戦し1−0で勝利、8月9日には機関車体育団との試合を予定している。

 試合が行われる際には朝鮮のサッカー関係者が訪れる。選手それぞれの能力をチェックするためだ。「朝鮮A代表は無理でもU−20、U−23代表に特設班の学生が選ばれる可能性はある」と崔監督は語る。学生たちの目の色も当然変わってくる。

 トレーニングも、国際試合が行われる金日成競技場や羊角島競技場で行われ、「祖国の配慮により最高の環境のなかで没頭できる。また、強盛大国実現に向けて沸き立つ祖国の現実を実際に見ることにより精神的に一回り大きくなっている」と崔監督は指摘する。

必ず代表選手に

 緊張がほぐれるなか、交流会の場では学生たちの方からも代表選手にさまざまな質問が投げかけられた。

 「いつもどのようなトレーニングを積んでいるのですか?」「サッカー選手として一番大切なものは?」「W杯ではどの国と対戦したいですか?」…。

 蒋基栄選手(2年)は、「代表選手と話しながら、サッカー選手にとって精神力の大切さがよくわかった。具体的なアドバイスも受けることができた。こんな機会を与えてくれたのだから、今後もっと練習に励みたい」。

 Jリーグの大分トリニータからオファーを受けている姜成浩選手(4年)は、「W杯出場を勝ち取った原動力が何なのかよくわかった。同じサッカー選手として、祖国の代表と一緒にボールを蹴りたいと心のそこから思うようになった。必ず代表選手になりたい」と決意を語った。

 プロ選手志望が多いなか、安泰成選手(4年)は卒業後、朝鮮学校の教員になりたいと言う。「今日、代表選手たちと出会ったこと、祖国で学んだことを教育の現場で子どもたちに伝えたい。そして子どもたちにサッカーを教え、第2、第3の安英学、鄭大世選手を育てたい」と夢を語った。

 交流会の最後にあいさつに立った朝鮮代表チームのキム・ジョンフン監督は、「W杯では在日同胞の期待に応えられるよう精一杯がんばりたい。朝鮮大学校には素晴らしい選手たちが多い。今後、多くの選手が国家代表に選ばれるようしっかりと練習を積んでほしい」とエールを送った。

朝鮮学校生徒が代表選手に手紙 「必勝朝鮮」「勝利」

[朝鮮新報 2009.8.3]