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〈全国朝鮮歌舞団講習を取材して-上-〉 難しい時だからこそ力合わせて

「同胞のいる所ならどこへでも」

みんなで記念撮影

 全国朝鮮歌舞団の講習が昨年12月8〜11日にかけて、兵庫県南あわじ市の「国立淡路青少年交流の家」で行われた。日本各地7カ所−東京、東海(愛知)、京都、大阪、兵庫、広島、福岡から34人が参加した。朝鮮大学校の李光男教育学部音楽科講師、金剛山歌劇団の宋栄淑舞踊部長らを講師として迎え有意義な4日間を送った。

 2004年以来、4年ぶりの全国講習。各地方で活動する歌舞団にとって、4日間という日程の調整、また費用や場所などの確保も難しかったが、@各地の団員との交流を深めるA芸術性、技術の水準と統一性を保つ目的で断行された。

 初日。各地からマイクロバスやワゴン車に長時間揺られ、目的地に集った団員たちは、各歌舞団との久しぶりの対面に喜びを分かち合っていた。

 荷解きを終え、夕食を済ませた後、総連中央の李洪一民族圏委員会部長が講義を行った。同胞社会を取り巻く情勢について話した李部長は、同胞社会の中で@民族性啓蒙の旗手A同胞をまとめあげる組織化の旗手B対外活動の旗手である歌舞団の役割は非常に大きいと強調した。

 つづいて、各歌舞団の08年活動報告があった。

 「同胞のいる所ならどこへでも駆けつける」−同胞の結婚式や花見、新年会など公演のみならず、歌やチャンゴなどのサークル指導、デイサービスなどの老人介護施設でのボランティア活動、ハンセン病患者施設での慰問公演、各地の朝鮮学校でのボランティア公演、対外公演、自主公演…数えきれないほど多彩な活動ぶりが誇らしげに語られた。

練習の成果を発表

歌手たちの練習風景

 2日目。各歌舞団のメンバーたちは、朝から晩まで練習に明け暮れた。歌手は理論と発声法から民謡やチャンダン、伴奏制作まで、舞踊家は基礎練習から作品伝習まで懸命に取り組んだ。

 普段、専門家に教わることの少ない団員たちにとっては、絶好の機会。

 「一つでも多くのものを学ぼう」−講師を見つめるまなざしは、キラキラ輝き真剣そのものだった。講師の言葉一つひとつ、動作一つひとつを食い入るように聞き、見、書き取る。休憩時間も惜しみ、復習を続けた。

 3日目。疲れた様子も見せずに朝から再び練習に励んだ。

 午後には発表会が開かれ、団員たちは練習の成果を存分に発揮した。

 応援に駆けつけた南大阪商工会副会長・任玉鐘さん夫妻と同施設の関係者らが共に観覧する中、舞踊「朴淵瀑布」(1組、2組)や女声重唱「降仙の夕焼け」、中級班女声民謡「わがトンへはすばらしい」、男声重唱「いつも輝けわれらの総連」、上級班女声民謡「コッタリョン」、合唱「将軍星」が披露された。

発表会で披露された舞踊「朴淵布」(1組)

 李光男講師は、「2日間の練習内容の全般を消化している。声の質、情感、技術を高めようという意欲が感じられた。今後は、自分の方向性を明確にし、練習に励み研究を深めれば、より良い成果が表れるだろう」と評した。

 宋栄淑部長は、「歌舞団の団員たちと共に過ごしながら、同胞に密着した活動の中で、同胞らと苦楽を分かつ団員たちの目に見えない努力を知った」と述べ、「日々の蓄積が今後の舞台に表れる。今回の成果を胸に、さらに精進してほしい」と励ました。

 「全国の歌舞団が集まるというから、顔だけでも出そう」と、妻と2人、大阪府堺市から車で2時間をかけやってきた任さん。「同胞に密着した運動をしている」歌舞団を20余年支え、激励してきた。「歌舞団の歌と踊りを楽しみにしている同胞はたくさんいる。しんどいことも多いだろうが、ファンも多く、その分やりがいもあるはず。これからもみんなで力を合わせてがんばってほしい」とエールを送った。

 夜には交流会が設けられ、おいしい食事とともに歓談を楽しんだ。日頃の活動や成果、思いを共有し合う団員たちの顔からは、終始笑顔があふれていた。

 そんな団員たちの話しは尽きることなく、夜は更けていった。

新たな決意

交流会では互いをねぎらい合った

 4日目。講習の最後に行われた決意討論会では、各歌舞団の代表が講習の感想や心意気を語った。

 「難しい時期だからこそ、各歌舞団とは互いに刺激し合える関係でありたい。地方ごとの特性、同胞のニーズに合わせながら、3つの旗手として活躍していこう」(「由香さん、福岡)

 講習の全日程を終えた団員たちは、文芸活動家として、講習で得たものをこれからの活動に活かしていこうと、新たな決意を胸にそれぞれ帰路についた。

悩み、葛藤、理想とのギャップ… 華やかな舞台だけではない

[朝鮮新報 2009.1.7]