朝鮮新報を教材に9年間課外授業 北海道初中高の取り組み |
自分の頭で考え、自分の言葉で語る
紅葉まっさかりの北海道・札幌。市の中心から地下鉄と車を乗り継いで40分ほどいくと、14年前に改修を終えた北海道朝鮮初中高級学校(申京和校長)の広々としたキャンパスが広がり、グラウンドに立つもみじの木々が美しい彩りを見せている。近年では映画「ウリハッキョ」の舞台として、日本各地の話題を集めた。 同校の名を広めているのはそれだけではない。実は、朝鮮新報を取り入れたユニークな授業にも関心が高まっている。 日本のメディアが垂れ流す「エセ情報」に左右されない独自の情勢観を生徒たちに身につけさせようと、9年前から中高の全クラスの課外授業に朝鮮新報を読み、解説する授業を隔日で行ってきた。 そして、日々朝鮮新報を読み、考え、議論してきた積み重ねのうえで、学期ごとに朝青朝高委員会主催の「朝鮮新報作文コンテスト」を開催している。生徒たちそれぞれが選択した記事を、授業内容と関連づけて論文も発表する。発表された論文は学期に1度、生徒たちの小論文集に収録される。
朝鮮新報が生徒たちの日常にどのように生かされているのか、まず、それを確かめようと、10月21日、同校の4時間目の授業の後に特別室で行われた「課外授業」を参観した。ここには、朝高委員会の役員17人が届いたばかりの朝鮮新報(10月16日付)を持って参加。壇上で朴大宇・朝高委員会責任指導員が、1面から8面まで、見出しを読み、ミニ解説を加えていく。
この日の1面トップは「金正日総書記の協同農場への現地指導」。朴先生は「強盛大国の大門を開く」2012年に向けて、一丸となって農業に取り組む朝鮮の人々の仕事ぶりを的確に伝える。 1面セカンドは「熱い同胞愛で相互扶助」とのタイトル。毎年恒例の「愛の募金運動開始」の記事である。朴先生は熱い口調で訴えた。「同胞愛の熱い相互扶助の精神があったからこそ、解放後、同胞たちは無から有を創造し、民族教育の歴史をスタートさせた。われわれが学ぶことができたのもそのおかげ。その愛、恩に報いるのが人の道。義理を忘れてはならない。そうだろう」と。「だから、今年もこの募金運動に積極的に参加しよう」とよびかけた。 続いて、コラム「メアリ」に話題が移る。この日のテーマは「ノーベル平和賞」。朴先生の口調はますます熱くなる。 「君たちはどう思う? 今も米国は世界各地で戦争を引き起こし、イラク、アフガンで戦争を続け、無この人々を殺りくしている。戦争当事者であるオバマ大統領が受賞したことに各国から非難が起きている。各自がじっくりこの問題について考えてみよう」と問いかける。1本1本の記事の見出しを紹介しながら、生徒たちの問題意識を掘り起こすような口調。生徒たちの目の輝きが印象に残った。その間、約15分。(朴日粉記者) [朝鮮新報 2009.11.6] |