〈07年朝鮮半島を振り返る -北南-〉 首脳会談 関係発展の新局面 |
課題は法制度整備の実践 北南関係においては今年、画期的な進展があった。2000年6月以来7年ぶりの北南首脳会談が行われ、「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」(10.4宣言)が発表された。以後政治、軍事、経済の各分野で当局間対話と接触がめまぐるしく開催されている。6者会談の進展で、その間北南関係の発展を妨げていた外的要因も同時に解決されつつある。北南関係は新しい局面を迎えている。 上半期、再開と中断 北南当局間の対話は去年7月、釜山での第19回閣僚級会談以来中断していた。今年2月末、第20回会談が約7カ月ぶりに開催され、5月17日には分断史上初めて北と南の列車が軍事境界線を超える試験運行が東、西海線で同時に行われた。 表面上、北南関係は好転したようにも見えたが、実際には依然として非常に不安定な状態が続いていた。5月末に平壌で開催された第21回閣僚級会談は具体的な合意なしに、次回の会談日程も定められないまま終わった。南側は、北南間で合意したコメの提供問題を6者会談の進展と結びつけるなど、民族自主の立場を貫くことができなかった。また、北側が再三にわたって提起している「根本問題」の解決に応じず、会談は事実上決裂した。
北南関係は再び中断と再開の悪循環に陥った。 同時期、平壌では北、南、海外代表らの参加のもと、6.15民族統一大祝典が盛大に行われた。しかし、ハンナラ党議員のひな壇着席問題をめぐる対立で大会の運営が遅延するという、「祝典史上かつてない不幸な事態」(祖国平和統一委員会書記局報道、6月22日)が発生した。 この影響で、釜山で予定されていた8.15統一行事は中止となった。いつも統一運動の先頭に立ってきた民間もぎくしゃくしていた。 一方、西海の海上では4月頃から南朝鮮軍が「北方限界線(NLL)死守」を掲げながら、北の領海に立て続けに軍艦船を侵入させ、「いつ第3の『西海交戦』が起きるか予測できない危険な状態」(朝鮮人民軍海軍司令部スポークスマン、5月9日)にあった。そして8月20日から31日まで、北侵戦争演習であるウルチ・フォーカスレンズ合同軍事演習を行うという発表は、南側に対する北側の不信感を増幅させた。 こうした時期、8月8日に「盧武鉉大統領の平壌訪問に関する北南合意書」(8月5日採択)が電撃的に発表された。 国際環境問題も同時解消へ 全同胞と世界の大きな関心と注目を集める中、10月2日から4日まで行われた北南首脳の対面と会談は、北南関係の発展を妨げてきた障害要因をとり除き、6.15共同宣言と「わが民族同士」の精神に基づいて関係をより高いレベルに拡大発展させるための重大契機となった。
振り返ってみると、6.15共同宣言以後7年間、民族の和解と協力、交流事業は幅広く活発に行われてきたが、対話の相手を尊重するどころか敵とみなす対決時代の法的、制度的装置が事業の拡大を阻害していた。南側では北側の思想と制度に対する否定、冒涜行為が根絶されなかった。北側はこの間、閣僚級会談を通じてこうした問題の解決を主張した。双方は根本問題の解決に合意はしたが、実践されなかった。 首脳会談の結果発表された10.4宣言は、このような問題を解決し、6.15共同宣言を全面的に履行できる土台をつくった。 10.4宣言は1項で、6.15共同宣言を固守、具現して行く意志を確認し、2項で「思想と制度の相違を超越して北南関係を相互尊重と信頼の関係に確固と転換させていくことにした」と指摘している。北南の首脳がこのような「根本問題」の解決を宣言した意味は大きい。 今まで北南関係発展にブレーキがかかってきたのは、南当局が民族の立場に立つことができなかった内的要因とともに、米国が追求してきた対朝鮮敵視政策という外的要因もあった。 今年上半期にも見られたように、北南が合意した問題が外勢の干渉に縛られその履行が中断されることもあった。 2002年に朝鮮半島で「第2の核危機」が起きて以来、南側が米国との「共助」を先行させようとすればするほど、北側との対立は深まった。 ところが、米国が対朝鮮政策を転換する兆しが見え始め、この問題も解決されようとしている。 北南首脳会談開催中の10月3日、9.19共同声明第2段階措置履行のための6者会談共同文書が発表され、核問題の解決に向けた歩みも今のところスムーズに進んでいる。 6.15共同宣言を全面的に履行するための諸条件が整ったと言える。 10.4宣言履行の動き
10.4宣言発表後、北南総理会談、人民武力部長級会談、経済協力共同委員会など重みのある当局対話が行われた。以後、その傘下の実務会談がひんぱんに行われている。半世紀以上途絶えていた北南列車の運行が毎日行われる時代に突入した。 また、朝鮮労働党中央委員会の金養建部長の南訪問など高位級人士の往来と民間の多様な交流協力事業が活発に行われている。 しかし、「根本問題」の解決という課題はまだ残っている。相互信頼と尊重が法的、制度的に保障されない限り、対話の中断と再開という悪循環を絶つことはできない。 北南関係の基礎となる 「わが民族同士」の法的、制度的装置の整備が今後、どのように実践されていくのか注目される。 この問題の解決自体が画期的な出来事だ。そうなれば北南関係は想像をはるかに上回る速度で発展していくだろう。(姜イルク記者) 〈07年朝鮮半島を振り返る -外交-〉 盛んな高位級往来、多方面で関係拡大 [朝鮮新報 2007.12.19] |