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〈07年朝鮮半島を振り返る -外交-〉 盛んな高位級往来、多方面で関係拡大

全方位外交を推進

 今年は朝鮮の外交が例年にも増して華々しく行われた年だった。朝鮮半島核問題解決のための6者会談の合意履行プロセスが進展し、米国、日本との直接対話が行われる一方、中国をはじめとする友好国との交流、協力事業も多方面で進んだ。対米、対日関係を除いた友好国との2国間関係を中心に今年の朝鮮外交を振り返る。

際だった朝中関係

ニュージーランドのピーターズ外相と会見する金永南委員長(11月16日) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 今年の朝鮮外交の特徴として、高位級外交を積極的に展開し、諸外国との2国間関係を深めたことが挙げられる(表1参照)。

 その中でも朝中関係が目立つ。朝鮮と中国は21世紀に入って首脳級の相互往来をひんぱんに行い、伝統的な親善協力関係を戦略的なレベルで発展させている。

 両国の間では今年も各レベルの人的往来が活発に行われた。

 7月に楊潔箎外相が、10月に中国共産党書記処の劉雲山書記がそれぞれ訪朝し、金正日総書記と会見した。また総書記は、劉暁明・駐朝中国大使の招請で3月4日、駐朝中国大使館を訪問した。

表1 ▼主要外交日誌▼
3月6日 EUトロイカ代表団訪朝
6月19〜21日 ロムロ・フィリピン外相訪朝
7月2〜4日 楊潔中国外相訪朝、金正日総書記が会見
7月20〜8月2日 金永南委員長、アジア、アフリカ5カ国歴訪
7月28〜8月2日 朴宜春外相、フィリピン訪問、ARF参加
10月15〜22日 崔泰福・最高人民会議議長、シリア、イタリア訪問
16〜18日 ノン・ドク・マイン・ベトナム共産党書記長訪朝、金正日総書記と会談
10月26〜11月7日 金英逸総理、東南アジア4カ国歴訪
10月29〜30日 劉雲山・中国共産党書記訪朝、金正日総書記が会見
31日 国連総会で決議「朝鮮半島の平和、安全、統一」採択
11月14〜17日 ピーターズ・ニュージーランド外相訪朝

 就任後初の外国訪問となった楊外相の訪朝は、一時中断状態にあった6者会談合意の履行プロセスが再始動し、朝鮮半島情勢が急進展を見せるなか実現したことで内外の注目を集めた。朝中双方は両国関係発展と朝鮮半島核問題など相互の関心事となる一連の問題について討議、朝中親善関係の発展は双方にとって終始一貫した立場であり、確固不動の方針だということについて再確認した。

 一方、中国共産党第17回大会閉幕直後に訪朝した劉雲山書記は党大会の内容を朝鮮側に詳細に報告した。楊外相、劉書記ともに金正日総書記に胡錦濤総書記の口頭親書を伝えたとされている。

 両国の間では政治以外にも経済、文化、スポーツなどさまざまな分野で交流と協力が盛んだ。中国側の発表によると、今年の両国間の貿易額は14.4億ドル(約1600億円)を記録し、昨年の同時期と比べて16.6%増加した。中国側は8月末までに77の対朝鮮投資対象を批准、総額は3億8000万ドル(約420億円)になる。また、文化、教育、スポーツなどの分野で70の代表団が両国間を行き来した。

相次いだ外国訪問

 高位級外交はアジア、アフリカ地域を中心に伝統的な友好国との関係発展にも貢献した。

 金正日総書記の招請によって実現したベトナム共産党のノン・ドク・マイン書記長の訪朝(10月16〜18日)は、その象徴といえるだろう。1957年以来50年ぶりとなるベトナム最高指導者の訪朝は、両国間の親善関係を新たな時代に合わせて発展させていくきっかけとなった。

 朝鮮側は最大級の歓待でベトナム共産党書記長を迎えた。金正日総書記はノン・ドク・マイン書記長一行を空港で出迎え、帰国時も空港で見送った。17日には総書記と書記長との会談が行われた。

 今回の訪問についてベトナム側も、「あらゆる分野において幅広い協力を強化していくことで合意した」と明らかにし、「この間、多少疎遠だった両国関係を伝統的な友好関係に戻す契機になった」(10月18日、ファム・ザー・キエム副首相兼外相)と評価した。

 一方、朝鮮側高官の外国訪問も相次いだ。

 最高人民会議常任委員会の金永南委員長は、7月20日から8月2日までモンゴル、アルジェリア、エジプト、エチオピア、シンガポールを歴訪した。

 金英逸総理も10月28日から11月7日までベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオスを訪問した。今回の訪問は金総理にとって就任後初の外国訪問となった。総理一行は各国と経済、文化分野の協力協定を締結するなど精力的に活動した。海外メディアの現地報道によると、ベトナムを訪問した一行は経済各分野の産業施設を視察する一方、経済の理論講習も受けたという。総理の東南アジア諸国訪問には貿易相や農業相など経済分野の高官が多数随行するなど、各国との友好、協力関係を経済分野においても深めようとする意向がうかがえる。

 また、5月に就任した朴宜春外相もフィリピンを訪問(7月28日〜8月2日)し、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラムに出席した。

 このような高位級外交の積極的な推進は、今日の朝鮮半島情勢の進展と無関係ではない。

 核問題の解決や朝米関係の正常化を見越して、各国との2国間関係の発展はもとより、地域レベルでの安全保障や経済協力の枠組みにも参与していこうとする意志が反映されたものだといえる。

新たな関係樹立

表2 【国交樹立国】
4月26日 ミャンマー
7月16日 モンテネグロ
9月17日 アラブ首長国連邦
   20日 スワジランド
   24日 ドミニカ
   26日 グアテマラ

 今年の朝鮮外交の特徴として、アジア、アフリカの伝統的な友好国以外の国々とも新たに関係を樹立し、交流と協力の範囲を拡大したことが挙げられる。

 朝鮮は、モンテネグロやドミニカなど計6カ国と国交を樹立した(表2参照)。

 欧州各国との関係も深まりつつある。欧州連合(EU)は今年、3回にわたって代表団を朝鮮に派遣した。10月下旬には欧州議会代表団が訪朝し、平壌で朝鮮側と経済討論会を開いた。毎年春、秋に開催される国際商品展覧会でも欧州諸国の進出が増えている。3回目となる秋季商品展覧会(10月)には6カ国から18の企業が参加した。

 イタリアとの国交樹立(2000年1月)を皮切りに西側諸国との関係改善に乗り出すなど、新たな国際環境に即した対外関係の構築が21世紀に入って着実に進んでいる。その流れは、朝鮮半島情勢の進展とともに来年以降も続くと見られる。(李相英記者)

[朝鮮新報 2007.12.14]