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〈東京朝鮮第2初級学校土地問題裁判〉 東京地裁 都と学校に和解を勧告

朝鮮学校の存在意義を認める 支援団体、「『裁判闘争』に勝利した」

裁判所の和解勧告を受け行われた記者会見

 「在日朝鮮人の『民族教育権』をめぐって闘われた、初めての裁判」として内外の注目を浴びている「枝川裁判」の第18回口頭弁論が8日、東京地方裁判所で行われた。

 「枝川裁判」は、2003年12月に東京都が東京朝鮮第2初級学校の校舎の一部を取り壊して、都有地である校地の一部約4000uを返還すること、および90年4月1日以降の使用相当損害金として約4億円の支払いを求めて提訴した裁判だ。東京第2初級は、70年4月から90年3月31日まで、都との間で校地の一部を無償で使用する契約を72年に締結したが、都はその期間が満了したといって協議が続いていたにも拘らず裁判を起こした。

 また、15回口頭弁論からは学校の運動場の一部が区道だとし、3年間の不当利益に対する訴訟を起こした江東区の裁判も併合して行われた。

 この日の口頭弁論では、東京第2初級側弁護団の師岡康子弁護士が意見陳述を行った。

報告集会は参加者たちの熱気に包まれた

 師岡弁護士は、都が起こした訴訟は、普通教育に不可欠である校庭を奪い、現に子どもたちが学んでいる学校を、民族教育の場を、破壊することにほかならないと述べた。

 そして、枝川に学校が建てられた経緯と今日までの経過について述べ「住民の教育を保障すべき立場にある地方自治体が、形式論をふりかざして教育の場であることを一切配慮せずに、権力を持って破壊する特異な裁判であり、このような裁判を起こすこと自体、国際的に見ても到底批判にたえられるものではない」と、都が起こした裁判の不当性について指摘した。

 この日の口頭弁論では、土地の利用状況と紛争の経過などを鑑み、原告が被告に対し、土地を学校運営の経過を踏まえた相当額で売却することによって、紛争を早期に解決することが相当であると考え、和解条項のとおり和解を勧告するという裁判所の決定が下された。

 その後、弁護士会館で記者会見が行われた。

 記者会見では、金舜植弁護士が弁護団の談話sを、学校法人東京朝鮮学園の金順彦理事長が談話(別項)を発表した。

 また、東京第2初級の宋賢進校長が「今日限りに学校がなくなるのではないかという不安は解消されたが、これからは重要な課題である在日同胞の宝物、学校を守るために尽力したい」と語った。

 正午からは多くの参加者たちが見守るなか、報告集会が行われた。

 集会では、弁護団の説明と感想、学校関係者の発言とともに「枝川裁判支援連絡会」「枝川朝鮮学校支援都民基金」をはじめとする日本の市民らが熱い思いを述べた。

 参加者たちは「学校がとられる不安が解消され、これからは新校舎建設など夢のある話ができる」「学校を朝・日親善の架け橋にしよう」「『枝川裁判支援連絡会』の活動方向を新たに考えよう」などと明るい声で語った。

 「枝川朝鮮学校支援都民基金」の佐藤信行世話人は「裁判終結にあたっての市民声明」を読み上げ「私たちにとって枝川裁判の何よりも大きな収穫とは、枝川朝鮮学校に学ぶ子どもたちに出会い、また、枝川朝鮮学校の教員を始め、保護者、卒業生、学校を支える枝川の町の人々と出会い、議論をし、共に裁判闘争を担ったことである。そして全国各地、韓国の仲間たちと、『枝川』を通して知り合えたことである。これ以上の『成果』があるだろうか。私たちは、『裁判闘争』に勝利したのである」と力強く語った。(康太成記者)

和解成立を受けて 学校法人東京朝鮮学園理事長 金順彦

枝川朝鮮学校弁護団が談話 土地問題裁判和解成立で

[朝鮮新報 2007.3.12]