金剛山で6.15特別面会 394組の北南離散家族 金英男さんも |
北南離散家族の特別面会事業が6月19〜30日まで金剛山で行われた。 今回の事業は、6.15共同宣言発表6周年に際して行われ、規模は従来の約2倍。北と南の計394家族が4陣に分かれ、2泊3日ずつの日程で面会を果たした(当初は北南各200家族、計400家族が面会予定だったが、体調などの理由で6家族がキャンセルした)。
数十年ぶりの面会を果たした離散家族は、ホテル大ホール、レストランなどでの「集団面会」、ホテル個室での「個別面会」、三日浦ハイキングなどを通じて肉親の情を分かち合いながら意義ある時間を過ごした。 北と南は2000年の6.15共同宣言発表を契機に離散家族の面会事業を人道主義の見地から着実に推し進めてきた。直接面会は今回で14回目となり、昨年8月には光ファイバーケーブルを使った初の「テレビ画像面会」が実現し、今年2月まで4回行われた。 北と南の赤十字団体は、離ればなれになっている家族の心情は全く同じとの立場から、面会できる家族の対象を朝鮮戦争(1950−53年)時に別れた家族に限定するのではなく、その後に別れた家族も含めることで合意している。 28日から30日まで行われた第4陣の面会では、日本人拉致被害者の横田めぐみさんの夫だった金英男さん(44)と南側に住む母の崔桂月さん(82)、姉の金英子さん(48)が再会し、大きな注目を集めた。 金英男さん 母、姉と28年ぶりに再会 8月平壌訪問を約束 【高城発=金志永、盧琴順記者】28日、金英男さんが母の崔桂月さん、姉の金英子さんと28年ぶりの再会を果たした。金英男さんの夫人のパク・チュンファさん(31)と長男のチョルボンくん(8)、そして金英男さんと横田めぐみさんの間に生まれた長女のキム・ウンギョンさん(19)が同席した。
金英男さんは、「アイゴー」と泣き崩れる母を抱きながら、「私も会いたかった。こんな良い日に泣かないでください」としきりに語りかけた。 まず金英男さんが、「この末っ子のせいで心の苦しみが多かったでしょう」と言いながら、伝統的な朝鮮式のあいさつをした。つづいて、紹介された夫人と長男、長女があいさつした。 弟の頭や頬をなでながら再会を喜んでいた金英子さんは、チョルボンくんを見て、弟が幼い時とそっくりだと話していた。 取材陣に公開された金英男さん家族の初対面は約10分。離ればなれになっていた歳月に比べるとほんの一瞬だが、北と南、海外同胞記者の目に写った姿は、まちがいなく「家族」のそれだった。
金英男さん一家は、「集団面会」の場ではなくその隣に設けられた個室で面会した。金英男さん家族を含めた離散家族らは、およそ2時間にわたり初対面を果たした。 夕方には宴会が行われた。金英男さん一家は、ほかの離散家族と一緒に参加した。またも取材陣の注目を一身に集めた。 「特別なひとになったね」と姉の英子さん。「静かなほうがいいんだけど」と弟は答えた。 金英男さんと金英子さんはひそひそ話をし、崔桂月さんとパク・チュンファさんは手をつなぎながら会話した。 宴会が終わり、車椅子に乗って会場を後にする崔桂月さんを最後まで見送ったのは、パク・チュンファさんとキム・ウンギョンさん。誰かが横で「キスしてあげて」と声をかけた。崔桂月さんは孫の頬にキスした。ほほ笑むキム・ウンギョンさんの目には涙が浮かんでいた。 ◇ ◇ 面会2日目の29日午後、金英男さんが母の80歳を祝い、数々の料理をテーブルに並べた。 「今までできなかった60歳、70歳の祝いも合わせて、80歳を祝います。オモニ、ずっと健康でいてください」 父親のこの涙声に、ウンギョンさんも涙いっぱい。ウンギョンさんにとっては生まれて初めて体験する祖母の誕生祝いだった。 金英子さんは、弟に会った感想を聞かれ、「初対面の瞬間、晴々として堂々としている姿にどれだけうれしかったか。弟が北で暮らしてもこれ以上望むことはない」と語った。 金英男さんによると、大マスゲームと芸術公演「アリラン」が開幕する8月に母と姉が平壌を訪問することを約束したという。 金英男さんは、「オモニが(平壌の)わが家を訪れたら、孫と楽しく過ごしながら、親せきともあいさつを交わしてほしい」と、再会を楽しみにしていた。 [朝鮮新報 2006.7.4] |