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そこが知りたいQ&A−総書記訪中、何が目的だったのか?

朝中関係強化、再確認 6者会談で協力態勢 「経済改革」の象徴的現場を視察

 金正日総書記が新年早々、胡錦涛国家主席(中国共産党総書記)の招きで中国を非公式訪問した。9日間の滞在期間、胡主席をはじめとする中国の党、国家の指導幹部と会談したほか、「中国改革の象徴」ともいわれる武漢、広州、珠海、深圳などを訪れた。今回の訪中はどんな意味を持つのか。Q&Aで見た。

 Q 金正日総書記が新年早々、中国を非公式訪問したが。

 A 1月10日から18日までの9日間、胡錦涛国家主席の招きで訪中した。この間、北京で胡主席らと会談したほか、中部、南部地方を訪れた。朝鮮中央通信は18、19の両日にわたって今回の訪中結果を詳細に報道した。

 Q 訪中の目的は何だったのか。

 A 朝鮮中央通信などの報道を総合すると3つある。何といっても朝中関係の強化を確認したことだ。第2に、こう着状態に陥りつつある6者会談について話し合うこと。3点目は中、南部地方を訪問して中国の現代化(改革)の実情を把握することだった。

 Q 6者会談と関連してはどんな話し合いがなされたのか。

 A 6者会談で収めた成果について肯定的に評価した。そのうえで、核問題を平和的に解決する立場を堅持し会談を引き続き推進することで、問題の平和的解決に貢献することを確認し合った。

 総書記は胡主席との会談席上、第4回6者会談第2ラウンドで発表された「9.19共同声明」を履行する意思に変わりがないことを再確認しながら、「6者会談の過程で作り出された難関」について語った。「難関」とは「偽ドル」「資金洗浄」問題とからんだ米国の対朝鮮金融制裁の事を指していよう。

 一方で、「金正日総書記は6者会談の難関を克服して会談を引き続き進展させるための方途を見つけるうえで、中国の同志たちとともに努力することについて指摘した」(朝鮮中央通信報道)。核問題を解決するうえで、朝中が協力態勢で行くことを米国側にアピールしたともとれる。その意味で総書記が帰国した18日に北京で金桂官外務次官とヒル米国務次官補が接触したのは興味深い。両者とも6者会談の団長。6者会談再開に向けて、今後の動きが注目される。

 Q 今回の訪中では総書記の中部、南部地方訪問が注目されているが。

 A 武漢、広州、珠海、深圳などが中国の経済改革の象徴だからだ。しかも、このルートは14年前の1992年にケ小平氏が改革開放を唱えるべく歴訪したコースとほぼ一致する。当時、ケ氏は1月18日から2月21日の1カ月あまりにかけて、武漢、深圳・珠海、上海を視察した。ここで話したことが「南巡講話」と呼ばれ、同年3月の党中央政治局会議を経て、党の正式文書となり、全国末端まで行き渡った。

 金正日総書記は中国側主催のレセプションで演説した際、「急速に変貌した南方地域の発展像と躍動する中国の現実は、われわれに忘れられない深い印象を残しました。今から5年前、天地開闢した上海市を視察した記憶がまだ生々しいのに、今回は中国特色の社会主義現代化建設偉業遂行に大きな貢献をしているさまざまな経済特区を視察しながら、中国人民の積極的で頑強な努力と、それがもたらした当然の結実から、新たなより大きな感動を受けました」と、経済特区を称賛した。

 ちなみに2001年1月に上海を訪問したあと、その年の10月に総書記は経済管理改善方針を指示。02年7月1日から経済管理改善措置が施行された。

 労働新聞など3紙による今年の新年共同社説は、「経済建設で差し迫った重要な課題は、人民経済の改造、近代化を集中的に進めることだ。人民経済の各部門、職場では改造、近代化を重要な経済戦略とし、新たに出発するという立場に立って、大胆かつ大規模に、革新的に推し進めなければならない」と指摘した。この部分で注目したいのは「新たに出発するという立場に立って、大胆かつ大規模に」改造、近代化を進めるよう強調した点だ。総書記の中国中、南部地域訪問とからめて、今後の動きを占ううえで参考になる。

 公表された同行者のうち、姜錫柱外務省第1次官以外はすべて経済ブレーン。朴奉珠総理は04年4月の訪中に同行した際、別途北京のモデル農場を視察。昨年3月に訪中した際には上海市を訪問したほか、携帯電話工場などを参観した。盧斗哲副総理は昨年末に訪中した際、原油共同開発に関する協定に調印した。

 朴南基党中央部長は国家計画、財政を統括。李光濠部長は科学院院長出身で科学技術分野を統括している。

 新年共同社説は経済事業を内閣に集中させることを強調したが、この点でも総理、副総理の同行は、経済建設を進めるうえで、内閣の統一的指導を強化していくことを示したものといえる。(文聖姫記者)

金正日総書記 中国非公式訪問、朝鮮中央通信の報道

中部、南部地方非公式訪問、朝鮮中央通信の報道

[朝鮮新報 2006.1.21]