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横田めぐみさんの遺骨鑑定結果 「偽者との一方的発表に疑問」 ヘラルド・トリビューン紙など

 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙2日付は、横田めぐみさんの遺骨鑑定結果を検証する記事を掲載した。「拉致被害者、DNA鑑定、そして疑惑について」と題した記事では、専門家の発言を引用しながら遺骨は偽物と断定した日本政府の発表を疑問視している。

専門家の発言紹介

 ヘラルド・トリビューン紙の記事は、「DNA鑑定結果は、本当に日本政府が主張したようなものだったのか」として、まず、イギリスの科学専門誌「ネイチャー」が疑問を呈した点を指摘。めぐみさんの遺骨を鑑定した帝京大学講師の吉井富夫氏自身が同誌とのインタビューで、鑑定結果は決定的ではなく、サンプルが汚染された可能性があると話したとしている。

 また、「われわれがこの検査から結論づけることのすべては、提供された遺骨から2人のDNAが検出され、それらがめぐみさんのものと一致しなかったということだ」「その遺骨が横田めぐみさんのものではないと結論づけるまでには、また別のぼう大なステップが必要だ」(本田克也、筑波大法医学教授)、「もしあなたが専門家でなければ、他人のDNAが検出されたと聞けば、その遺骨が彼女のものではないと推論するかもしれない」(赤根敦、関西医科大法医学教授)などの発言を紹介。「例えば、DNAが検出されなかった遺骨がひょっとしたら横田めぐみさんのものかもしれない」と書いた。

吉井氏は警視庁に

 昨年12月8日、細田官房長官は記者会見を開き、遺骨は横田めぐみさんのものではなく、2人の他人のものであったと発表した。これに対し、朝鮮側は年が明けた1月24日に朝鮮中央通信社の備忘録で、「遺骨鑑定結果はねつ造」だと反論した。

 備忘録は、「わが国では普通1200℃で火葬している。1200℃の高温で火葬した遺骨をDNA分析方法で鑑定しても個人の識別は不可能だというのが一般的な常識」だと指摘していた。「火葬、運搬、保管する過程で多くの人が取り扱った」事実も強調した。

 これ以外にも、科警研や東京歯科大学で鑑定不可能の結果が出たのに、2人分のものだったという帝京大学の鑑定結果のみをもって政府が偽物だと結論づけたこと、帝京大学の「DNA識別鑑定書」に記された分析内容の前後が合わないことなどの疑問点を示していた。

 こうした疑問を客観的に裏付けたのが、「ネイチャー」誌2月3日号に掲載された記事だ。前述の吉井講師自ら、「自分が行った鑑定が断定的なものではなく、また、サンプルが汚染されていた可能性があることを認め」た。

 「ネイチャー」誌は、「吉井氏を含むほとんどの専門家たちは、1200℃で焼かれた遺骨にDNAは残っていないと考えていた。『私もまったく驚いた』と吉井氏は語った」と伝えた。

 現在、吉井氏は大学のポストを離れ警視庁の職場に移った。彼が会見に応じることは法的に禁じられているという。

 「ネイチャー」誌が発端となって、南の連合ニュースも、ソウル大学医学部のリ・ジョンビン教授ら法医学専門家の3氏が一様に、▼1200℃の高温で火葬された遺骨からDNAを抽出することは事実上不可能▼仮にDNAが検出されたとしても、分析過程で外部の異物によって汚染された結果だろう、との所見を明らかにしたと伝えた(3月11日発)。

メディアも論争無視

 このように、科学的に遺骨の真偽が確定されていない状況下で、日本政府が北から渡されためぐみさんの遺骨を偽物だと、一方的に発表したことに疑問が集まっている。

 「異なる分析結果が出た場合、結論を下すことに慎重でなければならないというのが、国内法医学専門家たちの一致した指摘だ。とくに、外交的に敏感な事案の場合、真偽に対して論難が起きないよう確実な証拠を提示しなければならない」(連合ニュース3月9日発)というのが代表的な意見だ。

 ヘラルド・トリビューン紙の記事もそうした観点から疑問を示したものといえる。さらに、同紙は「巨大で反北的な」日本のメディア機関がこの遺骨論争を無視していることにも疑いをはさむ。

 同紙は、「ほとんどの日本人は彼らの政府が、よく言っても真実を曲解するか、悪く言うと、彼らをだまし誤った方向に導いているのかもしれないということに気づいていない」と結論づけている。(文聖姫記者)

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横田めぐみさんの遺骨鑑定 ヘラルド・トリビューン紙の内容

[朝鮮新報 2005.6.23]