総連代表団 国連人権委での活動 日本の過去清算、差別政策是正 各国参加者に強く訴え |
日本の独島領有権主張、歴史教科書改悪、事実わい曲、国連安保理常任理事国入り問題が表面化する中、3月末からスイス・ジュネーブを訪れた総連代表団は国連人権委員会に参加し、民族教育権問題、遺骨問題、日本軍「慰安婦」問題を取り上げそれぞれ発言した。また、集会やロビー活動などを通じて日本が過去清算を一日も早く行うよう国際社会に訴えた。(李泰鎬記者) 3つの議題で発言
既報のように、代表団は青商会、朝青、留学同などの若い世代を中心に、朝鮮人強制連行真相調査団、人権委員会代表らで構成された。 調査団の代表は、日本各地に放置されている朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨問題を初めて提起(IADL=International Association of Democratic Lawyers=代表資格で発言)。日本政府が国家的な責任を認め、謝罪や返還などに誠意を持って応じるよう訴えた。さらに、国際赤十字を訪れ東南アジアおよび太平洋局長らと面会し協力を要請した。 青商会の代表らは、日本政府による民族教育権の侵害状況を訴え、是正を求めた(IADL代表資格で発言)。「教育の権利に関する特別報告官」の訪日、調査も要請した。 集会とロビー活動も
代表団は滞在中、二度の集会を国連欧州本部内で開いた。 民族教育権問題に関する集会では、青商会、留学同の代表らが発言。「日本政府の差別政策によって、自らの言葉と文化を学ぶ機会が奪われている」と訴えた。各国からの参加者らとの意見交換も行った。 日本の過去清算を求める集会では、埼玉・金乗院に安置された遺骨や日本軍「慰安婦」被害者などの写真パネルを展示。日本の過去の罪行を暴き、日本政府の不誠実な対応を非難した。 また代表団は、同本部内で発言文や集会のビラなどを各国政府、NGO関係者に配布するなどし、諸問題への関心を呼びかけた。国連常駐のメディア各社も訪れ、活動の説明を行った。 日本当局が事実をわい曲した新しい歴史教科書を認定した際には、各国各社のニュース資料を配布し、国連人権委員会参加者らの注目を集めた。北南朝鮮政府をはじめ関係者らがじん速な対応を高く評価した。 在日の存在アピール 国連人権委員会での発言は、国連の中で継続して活動してこそ、その効力が増幅する。 今回、若い世代を中心に十数人が参加。メンバーらの発言前後に参加者の関心を呼び起こす活動を展開した。また、臨機応変に「ロビー活動」も行った。 滞在約2週間、各国からの参加者らと交流する過程で、在日同胞の存在を知らせる一方、日本での人権侵害の状況を訴えることができた。 日本に戻った代表団のメンバーらは現在、各地で報告会を行っている。今回の活動を踏まえその経験を活かし、日本での活動につなげようと積極的だ。 調査団は今後も、国際連帯協議会と連携し、遺骨の収集と返還を継続して求めていく。23日には山口県宇部市で、海底炭鉱の長生炭鉱で犠牲となった朝鮮人を追悼する報告会を開催する予定だ。5月には国際連帯協議会の東京大会が開催される。 朝青と留学同は、強制連行被害者の証言収集や歴史保存のための運動を企画。青商会は朝鮮学校を支援する活動をより広範囲に展開していくという。 新しい世代にとって、今回のジュネーブでの活動は、在日朝鮮人運動を受け継いでいくうえで「貴重な経験」にもなったようだ。 国際人権委、20の議題で人権諸条約の履行討議など 【解説】国連人権委員会は、国連経済社会理事会の補助機関として設置された機能委員会の一つとして、1946年に設置された。定例会議は3月中旬から4月下旬にかけて6週間、国連欧州本部で開催されている。現在開催中の第61会期は4月22日まで。 会議には人権委の正委員として53の国家代表が出席し、それにその他の国連加盟国、国連非加盟国、WTO、UNESCO、ILOなどの国連関連機関と国連協議資格を有するNGO代表らがオブザーバーとして加わり、国際人権諸条約の作成やその履行状況を討議し、人権の保護・促進活動を行う。委員会には分野別の特別報告官による報告書が提出され、会期ごと100本を超える決議、決定及び議長声明が採択される。 人権委では「経済的、社会的、文化的権利」「マイノリティの権利」など20の議題に関し討議されるが、国連が任命した特別報告官に続いて正委員国家、オブザーバー国家と国連関連機関、NGO代表もとくに関心のある6つの議題に関し発言できる。 総連の代表らが人権委に参加する場合、国連協議資格を有するNGOに協力を要請し、そのNGOの代表として会議に参加する。 人権委には国家代表のみならず、各人権条約審議委員や人権専門家なども参加しており、人権委でのNGO発言は、日本政府に条約の履行と差別是正に向けた国際的なプレッシャーをかけると同時に、在日同胞に対する日本政府による人権侵害の実態を国際的に訴え、世界で同じような状況におかれた人々と、反差別と植民地主義の克服において連帯し運動を展開していく足がかりとなる。 民族教育の処遇改善の問題や、今回はじめて提起した遺骨問題に関しても、今後、関連国際機関とともにその解決に向けた国際的世論を形成していく契機となるだろう。(宋恵淑、人権協会) (関連記事) [朝鮮新報 2005.4.19] |