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第61回国連人権委 関係者へのインタビュー

 総聯代表団が参加した第61回国連人権委員会議題12「女性に対する暴力」では、北南朝鮮政府と北南朝鮮、日本、アメリカなどのNGOが相次いで日本軍「慰安婦」問題に関して発言した。日本の過去清算を求め、国連で活動する関係者に話を聞いた。(文責編集部)

▽日本は謝罪を実践すべき 「在日同胞は兄弟」必ず補償を(朝鮮国連代表部、キム・ヨンホ書記官)

 −国連人権委員会で日本は常に、拉致問題などを持ち出して話をそらしているが、日本代表の発言をどう思うか。

 日本の発言はあまりにも幼稚だ。

 われわれは91年の国連加盟後、一貫して、一刻も早い過去の清算を求めてきた。だが、日本は「北朝鮮が人権を蹂躙している」とすでに解決済みの拉致問題などを持ち出して過去の罪の責任から逃れようとしている。

 (過去の問題について)すでに謝罪したと言うが、それなら実践しなければならない。言葉だけの謝罪など認められない。過去の清算もしないで世界の平和に貢献などできない。

 −日本は、朝鮮が示す強制連行や日本軍「慰安婦」被害者などの数に根拠がないと指摘しているが。

 日本は植民地支配時代におよそ840万人の朝鮮人を戦争の「弾」や「弾除け」として戦場に連れ出し、日本などに連行して過酷な労働を強いた。さらに、約20万人の朝鮮女性、少女らを従軍「慰安婦」として酷使し、約100万人の朝鮮人を虐殺した。

 数は、日本の文書庫にあった軍関連資料、朝鮮の研究機関、団体による調査、数多くの証言に基づいたものだ。840万という数には、日本によって家族と引き裂かれた者全員が含まれる。

 日本軍「慰安婦」被害者については、客観的な調査に基づいて出された96年のクマラスワミ報告書にも記述されている。さらに、多くの愛国者、独立運動の活動家、反日団体のメンバー、「3.1独立運動」への参加者らを含む約100万人が虐殺された。

 日本に少しでも良心があるのなら、これらの数字を認めることができるはずだ。闇雲に「根拠がない」と言ってはいけない。それなら調査して数字を示す必要がある。

 −今回、初めて遺骨問題を提起したが。

 総聯の国際舞台での活躍に敬意を払う。これまでもさまざまな会議に参加してきたが、今回、高徳羽(総聯中央)副議長と尹碧巖(国平寺)住職が国際赤十字を訪れ問題を提起したことは、たいへん効果的だ。

 今後、(赤十字の)アジア・太平洋事務局や各国赤十字社と協力し合うことが必要だ。国連の諸会議に継続して参加し、活動していくことも重要だ。

 −在日同胞について。

 在日同胞たちは被害者でありながら、まだ何の補償も受けていない。そればかりか、日本は被害者から税金を搾り取っている。総聯中央会館の固定資産税の問題や朝鮮学校と生徒たちに対する差別と弾圧、暴行事件についても認識している。これからも総聯が声を挙げていかねばならない。

 在日同胞たちは、同じ同胞、民族であって、兄弟と同じ。われわれも総聯と同胞の活動をもっと支援していきたい。立派な代表部があること、親切な職員たちがいることを心強く感じてほしい。

 朝鮮代表部の役割 朝鮮代表部は70年代初頭、朝鮮のWHO(世界保健機構)加盟に際し開設された。以降、国連事務局や各機構の手続き、活動に朝鮮の代表として参加している。現在、十数人の職員が活動している。

 キム書記官は、人権問題、日本の過去の問題を扱っており、国連人権委員会では政府代表として発言もする。UNCTAD(国連貿易開発機構)などの国連の国際機構も担当している。

▽資料館建設「加害の記録」公開へ 戦犯法廷の判決、実施を(VAWW−NETジャパン、渡辺美奈副代表)

 −今回のジュネーブでの活動と国連人権委員会での発言について。

 戦後60年を迎えるに当たって戦後補償を求める声が高まっている。これが61年になってしまってはだめ。去年から、とくに日本軍「慰安婦」問題に取り組む人たちと考えていく中で、国連で訴える準備をしてきた。

 国連ではこれまで、96年(クマラスワミ報告)、97年(マクドゥーガル報告)、2001年(国連社会権規約委員会の勧告)、03年(女性差別撤廃委員会の勧告)と何度も日本軍「慰安婦」問題に関する勧告がなされてきた。だが、日本政府はまったく何の対応もしていない。

 これまで日本政府に対応を迫る署名を集めてきたが、それを今回、国連人権委員会とILO(国際労働機関)に提出した。今後、コフィー・アナン国連事務総長に提出する考えもある。

 VAWW−NETジャパンとしては、女性国際戦犯法廷で出された判決を広め、実行させるために、ここ3年間毎年、国連人権小委員会に参加し発言し、集会なども開き訴えてきた。今回もその一環であり、挺対協(韓国女子挺身隊対策協議会)と連携して参加した。

 (発言では、性奴隷制度を作り、実行しておきながら、何ら補償もせず、生存者の証言を認めない日本が、国連安保理常任理事国のメンバーとしてふさわしいのか疑問視するべきだと訴えた)

 加害国である日本のわれわれが来て発言することで、これが2国間にとどまらず普遍的な問題でもあるということを伝えられる。

 −「女たちの戦争と平和資料館」について。

 日本軍「慰安婦」問題に取り組んできた14年間で、多くの資料や証言記録、加害の記録が集まっている。こうした女性国際戦犯法廷の判決とその過程での資料などを、どこに保管し、どうやって伝え、多くの人に知ってもらおうかとずっと考えてきた。亡くなった松井やよりさんの遺言でもある。

 02年から建設のための活動を進めてきたが、戦後60年の節目でもあり、教科書問題も取り沙汰される中、「今年始めよう」ということになった(今年7月、東京に開館予定)。少しずつでも資料を公開していく過程で、理解が深まればという思いでいる。

 資料館の特徴は、「戦時下における女性に対する暴力」に特化しているという点で世界唯一であり、加害の責任を問うている資料館という点で日本唯一になるということ。また、現在の女性に対する暴力をなくすための運動の拠点にもなるということだ。

 −国際司法裁判所に訴えることになると、資料がさらに重要になると期待する声が多いが。

 日本は戦後、不利な資料は消却したと言われているが、これまでも多くの資料が次から次へと出てきており、それは即ちそれだけ制度化されていたということ。もし、シークレットにやっていたものなら焼ききってしまえたはず。それでも焼ききれないぐらい日常的なものだったことがわかるとも言える。

 「慰安婦制度はなかった」と言う人もいるが、現実にあったことが資料に書かれてある。被害者の証言を裏付ける資料や証拠を探して残しておく必要がある。

▽公式な謝罪と公平な解決を 国際的な連帯重要(日本名誉債務財団、オランダ、J・F・ファン・バークテンドンク代表)

 −今回の活動と団体について。

 第2次世界大戦中、インドネシアに駐留していたオランダ軍人と民間人十数万人が日本軍の捕虜となった。そのうちの数万人は、収容所に移送される際に乗せられた船が沈没し犠牲となった。また、収容所では食事も満足に与えられず、過酷な労働を強いられた者もいた。さらに、性的強制を強いられた女性、少女もいた。

 被害者や遺族らは、オランダ政府が日本の過去清算を求めるための私設団体の設立を提案したことを受け、90年にSJE(オランダ・日本名誉債務財団)を設立した。以来、日本政府に対して、過去の罪についての法的責任を認め、被害者と遺族らに補償するよう求める運動を展開してきた。日本大使館の前でデモなども行ってきた。

 94年に日本軍「慰安婦」被害者らが訴訟を起こしたが、最高裁で棄却された。だが、98年の地裁判決では、日本の人権侵害については認められた。それに勇気を得て活動を続けている。

 今回は、日本政府の公式な謝罪と公平な解決方法を求めるために来た。必ず正義が守られなければならない。

 −今後の展望と朝鮮の団体との連携について。

 昨年、「日本の過去清算を求める国際連帯協議会」に参加し、連帯して取り組んでいこうということになった。そこで採択されたアピールに多くの団体が賛同してくれた。国際的に過去清算を求め、日本の国連安保理常任理事国入りに反対する声を挙げていくことが大事だ。

 オランダの犠牲者と遺族らも朝鮮人と同じ思いをはせている。協力し合っていきたい。とくに朝鮮の団体は活動が活発で、文化の違いなどもあり、学ぶことが多い。

 朝鮮も必ず謝罪を受けなければならない。重要なのは、道義的責任を追及すること。日本人個々人、とくに若い人が道義的に責任を感じるように活動していく必要がある。

[朝鮮新報 2005.4.19]