〈第4回6者会談〉 「言葉対言葉」どう行動に? 非核化へ大きな一歩 |
13日から行われていた第4回6者会談第2ラウンドが19日、6項目の共同声明を発表して閉幕した。2003年8月に始まり2年あまりにわたって行われてきた朝米間の核問題を話し合う会談も、紆余曲折を経てようやく朝鮮半島非核化への大きな一歩を記したといえる。会談では何が決まったのか。 「時期」で正反対の解釈
まずは何と言っても朝鮮半島の非核化実現が目標であることを確認したことがあげられる。ここでは、朝鮮だけでなく、米国と南朝鮮が行うべきこと、他の参加国が行うべきことがすべて明記された。 とくに、米国が核兵器を含めた軍事的脅威を与えないことを約束したことは大きい。これは朝鮮側が一貫して求めてきたもので、核抑止力を持たざるをえなくした理由としても挙げてきたものだからだ。 さらに、核の平和利用権を尊重するとしたことも、朝鮮側の主張が受け入れられたものだ。 ただし、ここでネックになるのが朝鮮の核放棄の時期と軽水炉提供の時期。 共同声明では、朝鮮が「遠くない時期」に核拡散防止条約(NPT)に復帰し国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れることを公約したとある。一方、他の参加国が朝鮮に対する軽水炉提供を討議するのは「適切な時期」だとしている。 「遠くない時期」について、20日の朝鮮外務省スポークスマン談話は「米国が軽水炉を提供した段階」としている。逆に「適切な時期」について6者会談米国代表団団長のヒル国務次官補は「北が核兵器と核計画をなくし、NPTに復帰しIAEAの査察を受け入れる時」(19日の会見)と語った。 朝米がまったく正反対の解釈をしているわけだが、「行動対行動」という同時行動原則に従うなら、「先核放棄、後軽水炉提供」は受け入れられないという朝鮮側の主張は妥当だ。 しかも、軽水炉提供について朝鮮側は「平和的核活動を実質的に認める証拠」(外務省スポークスマン談話)と位置づけている。共同声明で平和的利用権を尊重するとした以上、軽水炉提供はそれを行動で示す絶好の機会だ。そのことによって、長年培われてきた朝米間の不信感も払拭されることにつながるからだ。 朝・日会談再開で合意 朝米、朝・日関係の正常化をうたったことも大きい。「朝鮮と米国は互いの自主権を尊重し」と共同声明にあるのは、言い換えれば双方が互いを主権国家として認めたということ。その前提に立ち、今後、国交正常化に向けた話し合いも設定されることとなろう。 一方、朝・日に関しては政府間会談再開で合意したことが20日に発表された。第1ラウンドではいっさい接触がなかった朝・日。第2ラウンドでは頻繁に接触が行われた。 エネルギーに関しては、朝鮮を除く5者が提供する用意を表明。とくに、第1ラウンド開催直前の7月12日に公表された200万キロワットの電力を提供するという南の「重大提案」が再確認された。同提案に関しては、6.15民族統一大祝典に参加するため平壌を訪問した鄭東泳・統一部長官が金正日総書記と面談した際、総書記から「慎重に研究して回答する」との答えを得ていた。 「多者安保」に発展も 6者会談が今後、東北アジアの平和と安定をもたらす「多者安保」の枠組みに発展する可能性も共同声明からは読み取れる。そのためにも、各国はさまざまな形で、朝鮮半島の恒久的な平和体制を樹立するための交渉を行うことになる。 第1ラウンド会談開始直前の7月22日、朝鮮外務省スポークスマンは「朝鮮半島で停戦体制を平和体制に転換させれば、核問題発生の根源となっている米国の対朝鮮敵視政策と核の脅威がなくなり、それは自然と非核化実現につながる」「朝鮮半島で平和体制樹立の過程が成果裏に推進されるなら、朝鮮半島と東北アジア、ひいては世界の平和と安定にも貢献する」と語っていた。 まず論議されるべきは、停戦協定の平和協定への転換であるべきだというのが、朝鮮側の主張だ。 「行動対行動」の原則で 20日の外務省スポークスマン談話は今回の共同声明について「言葉対言葉」の公約だと指摘した。 朝鮮半島の非核化という最終目標に向けて、それぞれがなすべきことは明記された。11月に予定される次回会談以降、「行動対行動」の原則にそって、約束ごとを段階別に履行する措置を話し合うことになる。 20日の外務省スポークスマン談話が、遠くない時期を「軽水炉提供の段階」と明確に規定したことは、この「行動対行動」の原則を十分に意識したものだ。 米国が今後、共同声明履行に向けて実際にどう動くか。それによっては、今回の合意の行方を左右することにもなりかねない。(文聖姫記者) 〈第4回6者会談〉 共同声明発表 朝鮮外務省代弁人談話 軽水炉提供の段階でNPT復帰 [朝鮮新報 2005.9.24] |