そこが知りたいQ&A−10回経済協力推進委 何が決まったのか |
バランスとれた民族経済発展を 6月の第15回北南閣僚級会談の合意に沿って10〜12日にソウルで開かれた第10回経済協力推進委員会では、「民族経済のバランスの取れた発展をめざす経済協力事業を前進させるうえで提起される対策について討議し」(朝鮮中央通信)、12項目で合意した。13カ月ぶりに開かれた同委員会で何が決まったのか、Q&Aで見た。 Q 委員会ではどんな点で合意を見たのか。 A 何よりも新方式の経済協力事業を推進することで合意したのが大きい。委員会で発言した北側団長の崔英建・建設建材工業次官は、「民族経済のバランスの取れた発展をもたらすために、北南双方の資源と資金、技術を可能なかぎり動員して利用し、経済協力事業を民族共同の事業に転換させよう」と述べた。そのうえで、6月に民族経済協力委員会が設立された意義を強調した。これは、経済協力に対する北の発想の転換を意味するものだ。「一方的な支援の性格が強かった経済協力事業を、双方が必要なものを『ギブ・アンド・テイク』する形に転換する」(パク・フンリョル統一部常勤会談代表)わけだ。北の資源と労働力、南の資本と技術という双方の長所を共有することになる。 初めての対象は消費財産業と資源開発。来年から、南は北に靴、衣類、石鹸などの消費財生産に必要な原材料を提供し、北は南に亜鉛、マグネサイト、燐灰石精鉱、石炭などの地下資源の開発に対する投資を保障し生産物を提供する。 Q 水産協力分科も構成されると聞いたが。 A そうだ。これは先の閣僚級会談で合意していたものだ。例年ワタリ蟹漁の時期になると起きていた衝突を防ぐとともに、南北の漁民の共同利益を追求する意味がある。20日の軍事当局者会談のための実務会談(板門店)に続き、25日からは同分科の第1回会議が開かれる。軍事当局者会談の動きとも連動しているだけに成果が期待される。 Q 鉄道、道路の連結はどうなったのか。 A 今年10月頃に列車の試運転と道路の開通式を行うことで合意した。6.15共同宣言発表直後の2000年7月から論議されてきたこの事業も最終段階に差し掛かっている。現在、西海(京義)線の南側区間は工事が完了し、北側区間も軌道敷設は終わり駅舎工事などが行われている。「これまで南北間の運送には海路が利用されてきたが、鉄道を利用すれば物流費、時間などを節約できる」(北経済研究センターのキム・ヨンユン所長、中央日報14日付)との指摘もある。 Q そのほかに注目すべき点は。 A 開城工業地区に経済協力協議事務所を開設することだろう。経済協力で提起されるさまざまな問題を解決していく常設的な場所ができる。しかも当局者同士が常駐することから、話もスムーズに進んでいくものと思われる。経済協力活性化とそのための人的交流にもよい作用をおよぼすだろう。 経済視察団の相互交換でも合意したが、これは互いの経済の仕組みを知ることにもつながる。50万トンの米支援(借款形式)も正式に決まった。 今回の合意によって、北南間の経済協力は大きく活性化される可能性が高まった。 Q 今月末には6者会談が再開されるが。 A 6者会談の進展は、今回の合意履行と当然無関係ではあるまい。逆にいえば、金正日総書記と鄭東泳・統一部長官の「6.17面談」を機に情勢が画期的に転換し、6者会談再開が決まった。今回の経済協力推進委員会の合意も、そのような流れと決して無関係ではない。(文聖姫記者) [朝鮮新報 2005.7.19] |