10日に第47回朝大卒業式 新しい世代が開拓の先頭に |
朝鮮大学校(東京都小平市)の第47回卒業式が10日に行われる。卒業を目前に控え、21世紀の在日同胞社会を担っていく学生たちは、さまざまな思いを胸に、決意を新たにしている。 「得たもの多い」
政治経済学部法律学科の文泰勝さんは、朝大生活でのさまざまな経験の中で、3年生の時に行われた祖国訪問がとくに印象深かったという。「実際に自分の目で祖国を見、素朴で温かい人々の姿に触れることができ、とても感動した」。在日という自分たちの存在や役割についてあらためて考え、悟ったそうだ。 「教育実習などを通じて、自分の『存在価値』についてあらためて考えさせられた」と語るのは教育学部教育学科(3年制)の洪玲奈さん。民族教育事業は、誰かがやってくれるものと、半ば「他人事」のように考えていた時期もあったそうだが、教育学部に入り、さまざまな教材を研究するうちに、「子どもたちに教えてあげられるのは自分たちしかいない」という思いが強くなったという。今は、民族教育を担当する一員としての自覚をしっかり持って、主動的な役割を果たしていかなければならないと痛感している。 一方、卒業生たちは、寄宿舎生活を通じて得たものも多かったと異口同音に話す。 「友だちとの接し方や対応法など、人間関係の面で得たものが多かった」「同じ世代同士、夢や未来について語り合ううちに、在日同胞としての自分たちの位置や使命を再確認しあった」「友だちを思う気持ちや人を思いやる気持ちを持つことの大切さを教えてもらった」「他人の視点から自分を客観視できるようになったことで、自分では気付かなかった部分も知ることができ、それがその後の自分の行動に大きな影響を与えた」 朝大生活を通じて育んできた友情は貴重な財産であり、これからも励みになると口をそろえた。 「民族教育に貢献」
卒業生たちは、同胞社会にどのように貢献していこうと考えているのか。 文さんは、歴史的な背景を生きる同胞青年として、まずは祖国統一と朝・日国交正常化を実現させるための運動を、日本人や周りの人たちと手を取り合い推し進めていきたいと語る。また、国際的なネットワークを広げ、同胞社会のさらなる飛躍と発展に貢献していきたいという。 「在日同胞にとって民族教育はなくてはならないものであり、決してなくしてはならないもの」と語るのは洪さん。異国で民族性をいかに守るかが重要なテーマだけに、次世代たちが立派な朝鮮人として育っていけるような環境を数多く作っていきたいと目を輝かせた。 短期学部生活科学科の李鮮華さんは、「同胞社会をより魅力的なものにするために自分は何ができるのかを考えてきた」。実家で祖母がともに暮らしていることもあって、福祉関係に興味を持っている。卒業後もこの研究を深めていきたいと話す。「奉仕活動を通じて、1番困難な時期に同胞社会の土台を築いてくれた1世たちに恩返ししたい」。 経営学部の姜太鉉さんは、「同胞社会を取り巻く環境が複雑であろうと、私たち新しい世代が同胞社会を開拓、改革し、民族性を守っていかなければ」と強調する。生徒数が減り、ますます財政難に陥っているウリハッキョ。4、5世の子どもたちに希望に満ちた未来をもたらせるよう、同胞経営事業などに尽力することで、ウリハッキョの財政を助けたいという。「それがすなわち民族教育の発展に貢献することだと思う」。(崔良先記者) (関連記事) [朝鮮新報 2005.3.5] |