日朝友好親善−第28回全国交流、福岡集会、分科会から |
前号既報のように、日朝友好親善を深めるための第28回全国交流福岡集会が8月25日、福岡県教育会館で行われた。同日午後、理論、教育実践、日朝親善活動の3つに分けて行われた分科会では、朝米、朝・日関係の展望、連帯運動の重要性を改めて確認した。 教育の重要性
民族教育実践、自主編成教材、在日朝鮮人の民族教育権、日朝教育交流などをテーマにした教育実践分科会では、6本のレポートが発表された。 金光正九州朝鮮中高級学校前校長は「福岡県における民族の歴史と課題」をテーマに発言。福岡県を中心に、在日朝鮮人の民族教育の始まりから民族学校創設とその後の過程、民族教育の目的と文部科学省の差別的な姿勢について言及した。そして、「民族の心」を学ぶ権利が人権として尊重され、教育の機会均等が保障されるべきだと主張した。 「民族教育の未来を考えるネットワーク広島」の村上敏事務局次長(広島高等学校教職員組合)は、「拉致問題」が喧伝された2002年9月、同会が広島県教組など10団体で発足した経緯について言及、大学受験資格を認めさせる署名活動や文科省への働きかけ、「民族教育シンポジウム」(今年1月)の開催など、これまでの取り組みについて紹介した。また、中国地区のネットワーク作りを目指し、山口県、岡山県との交流を進めていることも明らかにした。 福岡県教組の松沢孝裕さんは、「授業で子どもたちに朝鮮のことをどのように教えているのか」について発言。福岡の地は昔から日朝交流の窓口であったとしながら、日朝親善友好の歴史を生徒らに身近な事実として教えることの意義を強調、それを教材化していると語った。
そして、日朝交流の歴史を知識として伝えるだけでなく、現在の生活と生き方を考える機会となるような授業を生徒らと作りあげていきたいと抱負を述べた。 新潟県高教組前委員長の小山正明さんは、「朝鮮学校を支援する会の活動について」と題して発言。文化交流の一環として未来フェスティバル、公開授業を開催してきたが、新潟県はとくに「北朝鮮バッシング」がひどく、昨年は中断せざるをえなかったと説明。その原因は歴史の経緯を知らないことにあると判断し、「北東アジアの平和を考える会」を今年2月に設立して学習会を開いてきたと話した。また、弁護士の認識を変えることも重要だと考え、共に学習。朝鮮学校に対する助成金の支給では、新潟県が全国でもトップクラスだと胸をはった。 広島県教組の小早川健さんは、「日韓歴史副教材作りにむけて」と題して、広島県教組と南朝鮮の「全国教職員労働組合大邱支部」が提携しながら、歴史の副教材作り事業を展開してきたことについて発言した。高校生と教職員に対する歴史認識についてのアンケート調査を実施。2002年2月から03年11月にかけて5回の双方実務担当者の会議およびセミナーを開催、今年5月まで17回の県教組実務担当者会議を開催してきたが、共通の歴史認識を持つための基礎さえできていないことを痛切に感じたと感想を述べ、連帯を強化していく意向を明らかにした。 決意を新たに 朝鮮半島情勢、国際情勢、日朝間の基本課題などをテーマにした理論分科会では、姜相根朝鮮大学校助教授、鎌倉孝夫東日本国際大学学長が発言。姜相根助教授は、米国の対朝鮮敵視政策はイラク問題などでの反米機運の高潮、北南協力で破たんに追い込まれていると述べながら、朝・日は平壌宣言の履行に進まなければならないと強調した。鎌倉孝夫学長は、日本は日本国憲法の原点に戻るべきだと主張した。 また、統一支持運動、日朝連帯市民運動、「従軍慰安婦」、強制連行真相調査団活動などをテーマにした日朝親善活動分科会では、「青年教職員の交流」(福岡県教組の松岡孝徳氏)、「日本金正日花愛好会の活動」(日本教職員チュチェ思想研究会連絡協議会顧問の大広直氏)、「岐阜における強制連行調査活動」(岐阜県朝鮮人強制連行真相調査団の加藤明氏)など、計6本のレポートが発表された。 閉会に先立って各分科会での発言内容の紹介が行われ、報告者らは、参加者が今後、各地に戻ってどのような活動を展開していくかが課題になるとしながら、決意を新たにしていた。 一方、集会主催者側は今集会の分科会の特徴について、「日朝国交正常化後を念頭においた内容となっている」(横堀正一交流協会事務局長)と指摘した。外交関係だけでなく、民間レベルでもその環境が整うよう、各地での活動経験を参考にして運動のさらなる発展を期待していた。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2004.8.31] |