〈第3回6者会談〉 遅延戦術は限界に、流れは朝米直接対話 |
6月23日から26日まで北京で開催された第3回6者会談で参加国は、核問題の平和的解決のため「『言葉対言葉』『行動対行動』という段階的過程を経る必要性を強調」(議長声明)した。朝鮮の「約束違反(核開発)」が核危機の原因だとしながら、「先核放棄」を主張してきた米国の論理は事実上、排除された。 「同時行動」の違い
朝鮮は今会談で、「(核)凍結には核兵器をこれ以上造ったり、移転したり、実験したりせず、最終的な核兵器計画の廃棄へとつながるスタートであることが含まれる」(朝鮮外務省代弁人)と明言した。また、凍結の対象としては、平安北道・寧辺の黒鉛減速炉をはじめとする核関連施設と8000余本の使用済燃料棒を再処理して生産したプルトニウムを挙げた。 朝鮮の論理を整理すると次のようになる。 ▼米国が敵視政策を放棄しそれを行動で示したら、朝鮮はすべての核兵器関連計画を透明性を保障し放棄する▼その段階的行動措置となる凍結を始めようとするなら、朝鮮の「核抑止力」開発を誘発した米国の先制攻撃企図が撤回されねばならず▼ジュネーブ合意(94年10月)の白紙化によって朝鮮が被った損失も補償されねばならない。 一方米国は、凍結に対する「相応措置」について初めて言及しながらも、政策転換と関連した決断を後回しにできる余地を残そうとした。南朝鮮、中国、ロシア、日本が重油を提供しても自国はこれに加わらないとする態度をとった。朝鮮に対する暫定的な安保保障、テロ支援、経済制裁の対象国からの解除を協議する用意があるとしながらも、その実施を凍結と同時ではなく、時間差をおいた。 朝鮮の立場からすれば、「補償」と関連した米国の立場の変化は、敵視政策放棄の第1段階としては不十分だと言える。例えば米国は、凍結の対象に「濃縮ウラン計画」を含ませようと固執した。しかし米国は、中国なども求めるHEUと関連した「証拠」を今も提示していない。どこで、どのような規模で推進されているのかが分からない「計画」を無条件に凍結しなければならないという主張は、全面査察で朝鮮を武装解除させようとする企図を依然として捨てていないことを示している。 米国の決断を促す 今会談では、「同時行動」をめぐる朝米間の立場の違いは依然として解消されなかったものの、「同時行動」の流れは定まったと言える。米国が行動してこそ、朝鮮も動けるという認識が参加国の間に定着し(議長声明)、米国の決断を促す枠が形成されようとしている。 朝鮮がHEUの存在を認めたという謀略宣伝で第2の核危機をつくった米国は、多者会談を朝鮮に対する国際的な圧力の空間として利用しようとしたが、現実は他の方向に向かっている。つまり参加国は、核問題の当事者である朝米が合意を得られるような環境をつくる役割だけを果たそうとしているのだ。 「関係国の伴奏でのどがかれるまで歌いたい」という表現が、現実になろうとしている。 南とは、軍事分野で対決の根源をなくすための実質的な措置を講じ、和解と協力の流れを促進させた。4月には朝中首脳会談、5月には朝・日首脳会談が行われ、6者会談の直後にはロシア外相の平壌訪問も計画された。 一方ブッシュ政権は、ただクリントン政権時代の政策を否定する一方で、力で朝鮮をねじ伏せようとした。 強権と専横で自国の利益を追求しようとした「ブッシュ・ドクトリン」は、11月の米大統領選挙を前に破たんしようとしている。イラク問題だけではない。米国は朝鮮半島でも自らの失策を認めなければならない状況に追いつめられた。今回の会談で米国が凍結に対する「相応措置」に言及し、関係改善のための協議を始められるとの立場を明らかにしたのはその端的な例だ。 直接対話の必要性 ブッシュ政権は、朝鮮との直接対話に一貫して否定的だが、6者会談という対話が続くかぎり国際社会では懸案問題解決のための朝米直接協議の必要性がさらに浮き彫りになっていくだろう。 今回、参加国は、9月末までの第4回会談開催に原則合意した。米大統領選を目前に控えた時期だ。民主党の有力大統領候補は、朝米直接対話による問題解決を主張している。朝鮮を力でねじ伏せようとするブッシュ政権の遅延戦術は、限界点に達している。 [朝鮮新報 2004.7.3] |