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「東アジア青年学生平和人権キャンプ2004 in 関西」で南、日本、在日の大学生が交流

 「東アジア青年学生平和人権キャンプ2004 in 関西」(主催=東アジア大学生平和・人権キャンプ、東アジア共同ワークショップ)が3〜7日にかけて、京都、大阪で行われた。同キャンプには日本、在日、南の大学生約120人が講演や朝鮮学校訪問などのフィールドワークに参加。環境や考え方の違いに当初はとまどいながらも、交流の過程で理解を深めあった。(李松鶴記者)

中級生の寸劇に涙

5日に行われた東大阪朝鮮中級学校での授業参観

 「日本では北バッシングが続いているが、どう思う?」

 「昨年、朝鮮に行ってきた。マスコミがさまざまな報道をしているので、行く前は確かに不安もあったけど、実際に行ってみたら一気に吹っ飛んだ。言われているような、餓死者続出で崩壊寸前なんてことはないし、日本に帰ってきた後はもう日本の報道は信じないようにした」

 6日、大阪朝鮮高級学校で行われた教師、生徒との懇談会。南の大学生たちとの間で次から次へと質疑応答が繰り広げられた。授業参観時には、生徒たちの使っている教科書を興味深げにのぞき込んだり、質問したり。

 また前日5日に訪れた東大阪朝鮮中級学校では、生徒たちの準備した小公演を観覧。一昨年の9月17日以後、暴行、暴言事件など生徒たちの置かれた状況をテーマにした寸劇「ウリハッキョ(私たちの学校)」を見ながら、涙を流す大学生もいた。

 同校には済州道を故郷に持つ生徒が多く、済州大学の大学生を見つけては「僕の故郷は済州道」などと話しかけ交流を深めた。

 在日や日本の大学生とも、互いのキャンパスライフや社会問題、ひいてはプライベートなことも話し合うなどコミュニケーションも活発だった。日本語を話せる南の大学生、朝鮮語を話せる日本の大学生が少ないなか、在日の大学生たちが「橋渡し役」として活躍した。

「笑顔にほっとした」

 4泊5日という短い期間だったが、大学生たちは多くのことを学び感じたようだった。

 朝鮮大学の陳錫哲さん(文学歴史学部4年)は、「このような場に参加するのは初めて。南、日本、在日が集まって初めてわかりあえることが多く、とても勉強になった。また、これまで自分が受けてきた民族教育の素晴らしさを、第3者の眼を通じてあらためて感じさせられた」と語った。

 閔允京さん(ソウル大学社会学科3年)も、「韓国社会同様、在日社会にもさまざまな問題があることを初めて知った。韓国では民族文化が衰退しているが、それをかたくなに守っている在日社会を見て未来に対する希望を抱いた。これからはもっと在日社会に関心を持って、いろいろと手助けをしたい」。

 高大青さん(済州大学社会学科3年)は、「朝鮮学校生徒に対する暴行や嫌がらせは新聞を通じて知っていたので、来る前はちょっと不安だった。しかし、生徒たちのつぶらな瞳と明るい笑顔を見てほっとした」と述べながら、「これからも彼らと会っていろいろ聞いてみたいこともあるが、(国家保安法があるので)彼らと会うのにも神経を使わなくてはいけないというのが腹立たしい」と付け加えた。

 東アジア大学生平和、人権キャンプはこれまで、立命館大学と南の全南大学、済州大学の学生を中心に、「現場で学ぶ平和と人権」をテーマとして、00年の南、01年の沖縄、台湾での準備を経て02年済州道での開催を皮切りに、沖縄(03年冬)、南側の38度線一帯(03年夏)などでフィールドワークをはじめとする多彩な取り組みを行ってきた。

 また、主催者に名を連ねる東アジア共同ワークショップは「過去を心に刻み、ともに未来を展望しよう」を理念として、日帝時代の強制徴用と強制労働犠牲者たちの北海道での遺骨発掘作業、犠牲者遺族調査、在日朝鮮人問題に対するフィールドワークなどを南、日本、在日が一つになって行ってきた。

 両団体の共催で行われた今回のキャンプのテーマは、「在日朝鮮人の教育権と人権」。

 小泉首相訪朝後、日本の右翼勢力やマスコミによる「北朝鮮バッシング」が続くなか、在日朝鮮人社会に対していわれなき非難が加えられ常軌を逸した、生命を脅かす銃撃事件なども起きた。また、大学入学資格をはじめとする朝鮮学校への差別的な取り扱いや、朝鮮学校の学生たちに対する暴行や嫌がらせの現状を具体的に知ろうということからのテーマ設定だ。

 今回のキャンプで、南、日本、在日の大学生たちは朝鮮学校、そしてそれぞれを取り巻く現状について認識を深めた。「ここに参加した人たちが、今度はそれぞれの場所でアウトプットすればさらに理解は深まる」という大学生たちの言葉が印象的だった。

(関連記事)

東アジア青年学生平和人権キャンプ2004 in 関西の講演から

[朝鮮新報 2004.2.17]