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米の「北朝鮮人権法案」、南朝鮮で非難の声、噴出

 既報のように、「北朝鮮人権法案」が9月28日、米上院を通過。今月に入ってその施行が議会で最終的に確定された。朝鮮外務省スポークスマンは4日、同法案の目的は「わが人民が選択した社会主義制度の崩壊を狙ったものだ」と厳しく非難した。一方、南朝鮮では同案を通過させた米国を非難する声が噴出している。

和解、協力を壊す

 4日に行われた外交通商部に対する国会統一外交通常委員会国政監査で、開かれたウリ党の議員らは一様に、同法案の目的は「北の崩壊を誘導する点にある」と指摘。北南関係と核問題の解決などに悪影響を与えると、米国に暗に白紙撤回を求めた。

 同党スポークスマンの任鍾ル議員は、「圧迫と制裁によって、北の孤立と崩壊を誘導するものだ」と強調。

 金元雄議員は、「南の対北抱擁政策に対する全面的な挑戦」「北に対し軍事力行使の可能性を示唆したもの」、また韓明淑議員も、「北に対する一方的かつ敵対的な宣伝活動は、南北和解、協力の雰囲気を壊すもの」だと批判した。

 一方、民主労働党の権永吉議員は同法案を「戦争シナリオ」と規定。98、03年にそれぞれ米議会を通過した「イラク解放法」「イラン民主化法」と比較しながら、「『イラク解放法』は米国のイラク侵略の根幹となり、『イラン民主化法』はイランに対する軍事的措置の可能性を排除していない。『北朝鮮人権法案』は南北の共倒れを招く恐れのある戦争の可能性を含んだ深刻な懸案だ」と非難した。

 また「外交通商部に対して、同法案に対する公式的な立場を明らかにし、国民の検証を経たうえであらゆる外交措置を取ること」を要求した。

 そのうえで、「最高の人権は生存権」であり、北の住民の生存権は「北朝鮮人権法案」では保障されず、米国の対北経済制裁の撤回が唯一の解決法だと指摘し、「米国は北の人権状況悪化の原因提供者でありながら、北の人権改善のための法案を通過させるなど、背反的な態度を捨てるべきだ」と強調した。

「対北圧迫の手段」

 在野団体もいち早く反応し、抗議集会などを開き米国に撤回を求めている。

 統一連帯は1日、ソウル市内の米大使館周辺で集会を開き、「北朝鮮人権法案」は朝鮮半島の平和と統一に重大な障害を作り出すものだと、米大使館に抗議書簡を手渡した。

 参加者らは記者会見文を通じて、「同法案は人権改善問題を経済支援とリンクさせることで、人権問題を対北圧迫の手段にしようという政治的意図が露だ」と指摘。パレスチナ市民に対するイスラエルの国家テロからは目を背け、イラク戦争を引き起こした米国が、北の人権についてうんぬんするのは「欺瞞的な態度」だと非難した。

 また、イージス艦やパトリオットミサイルが南に配備されるなど、一連の軍事的な動きが活発になる中で採択された同法案は、「米国が対北崩壊政策を全面的に実施するという宣言であり、韓半島の平和と統一を望む全同胞の志向を全否定するもの」だと強調した。

 汎民連南側本部のラ・チャンスン議長は、「9月に予定されていた6者会談の開催を阻み、韓半島を戦争の危機に追いやっているもっとも反人権的な国家である米国は、人権をうんぬんする前に戦争を中止すべき」「北に対する干渉はわが民族に対する干渉であり、こうした内政干渉には強硬対応していく」と明らかにした。

 参与連帯と反米女性会も9月30日、論評と声明をそれぞれ発表し、同法案は「北の崩壊を目指したものであり、統一を願う全朝鮮民族の意思を無視したものだ」と非難した。

朝鮮外務省スポークスマン、「今回の法案はもう一つの敵対宣言」と非難

[朝鮮新報 2004.10.12]