在日コリアン高齢者生活支援ネット設立、同胞高齢者介護の質向上を |
「在日コリアン高齢者生活支援ネットワークハナ」の設立総会が6月26日、大阪市中央区のドーンセンターで行われた。同ネットワークは、在日コリアンの高齢者介護や生活支援に携わる福祉施設職員、研究者らが介護ノウハウ、事業経験や知識、情報を共有することで生活支援の質の向上を図ろうという目的で設立された。全国で初めての組織で、事務局は京都市南区のNPO法人「京都コリアンセンターエルファ」に置かれる。今後、会員同士の交流会や研修会、施設訪問、シンポジウムなどを実施するほか、会報の発行も予定している。同ネットワークの結成は、同胞高齢者支援活動を全国規模で展開する動きとして注目される。 実践、経験語り合う
第1部の設立総会では、共同代表に「エルファ」の鄭禧淳理事長、四国学院大学社会福祉学部教員の金永子氏、社会福祉法人「こころの家族」の尹基理事長ら3人が選ばれたのに続き、運営委員、事務局長、会計監査らが選出、紹介された。また、3人の共同代表らがそれぞれあいさつした。 2部の実践報告会では、神戸定住外国人支援センターの金宣吉理事長、介護老人保健施設・ハーモニー共和支援相談員の崔雅絹さん、NPO法人コリアンネットあいちの申美貴理事長、在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会事務局の鄭明愛さんらが各団体での実践例と経験談について語った。 3部では記念祝賀宴が催され、参加者らは意見交換をしながら交流を深めた。 生活習慣の違い等視野に
同ネットワーク関係者らによると現在、62万5000人の朝鮮、韓国籍のうち13%の約8万1000人が65歳以上の高齢者だという。 00年4月から導入された介護保険制度は、在日コリアンを視野に入れずにスタートした。日本人向けに準備された介護サービス施設では、民族的文化、生活習慣の違いや言葉の問題がネックになる。意思疎通のままならない1世のハラボジ、ハルモニらは通常の福祉施設が十分に利用できずにいる。このような現状を改善しようと、同胞高齢者らが利用できる施設の設置が各地で活発に進んでいる。 「エルファ」の鄭理事長は、「施設やヘルパーの数が増えている一方で、支援に関わっている人たちの情報を共有する場が少なく、これをどうにかしたいという思いがあった」と話す。 話が具体化されたのは00年12月、大阪市で行われた在日コリアン高齢者の介護問題を考えるシンポジウムだ。これを機に関係者らが準備を進め、この日の結成に至った。 メンバーは福祉施設、外国人支援団体、大学教授をはじめ関西など地方で活動する50余の団体、個人だ。 総会に参加した在日同胞福祉連絡会事務局長の林瑛純さん(60)は、「本会の障害者を支援する朝大生らによる『tutti』のボランティア活動などを広めるとともに、他の団体からも多くを学び高齢者支援活動を活性化させたい」と語った。 同ネットワーク事務局長で、エルファ介護部担当の朴承進さん(32)は、「まずは会報を発行し、会の設立の知らせを全国に届け、認知度を高めることが重要だ。できるところから着実に事業を進めていきたい。横のつながりを大切にして、支援活動に関する情報共有、人材育成など幅広い活動を展開していきたい」と語っていた。(金明c記者) [朝鮮新報 2004.7.3] |