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〈朝大生ボランティアの取り組み〉 同胞障害者の音楽サークル「tutti」をサポート

 在日同胞福祉連絡会が運営する、心身に障害をもつ同胞の音楽サークル「tutti」(トゥッティ、音楽用語で「みんな一緒に」の意)クリスマス会が昨年12月14日、東京都北区の東京朝鮮中高級学校で行われた。当日は約200人が参加するなか、メンバーらは約70人の朝大生ボランティアとともに、元金剛山歌劇団の林玉順さんや東京朝鮮第4初中、東京朝高合唱部らが出演したゲスト公演やフォークダンス、プレゼント交歓会などを楽しんだ。結成当初から活動を支えてきた朝大生ボランティアたちに話を聞いた。

1人につき1チーム

寄り添い、ともに演奏するひとときは心が通い合う瞬間だ

 2002年4月、「tutti」結成にあたり連絡会からの呼びかけで集まったのは、教育学部の学生約10人。口コミや横浜、朝大学園祭の2公演などで存在を知った体育、理工、外国語学部などからも参加し、現在約90人が活動をサポートしている。

 主な活動内容は月1回、メンバーの楽器練習にボランティアとして参加すること。障害者1人につき1つのチームをつくり、サポートする。

 千葉などの自宅から練習場となる東京朝高までメンバーの送迎も朝大生たちの役割だ。練習日の前にはボランティア同士で事前協議も行う。それぞれのチームが、担当するメンバーのもつ障害について研究発表するなど専門的な知識を身に付けるための努力も怠らない。

約200人が集まったクリスマス会

 外国語学部3年の金亨秀さんは一昨年夏から参加した。大好評だった昨年11月の朝大学園祭公演では、生き生きとした司会ぶりが好評だった。

 金さんの担当は、自閉症の金一賢くん(初6)だ。「名前を呼んだら手を振ってくれるなど、心が通じ合えた瞬間が一番うれしい」と語る。辛いと思ったことはないが、「自閉症が治りづらい病気だということを知った時はとてもショックだった。音楽に触れることで少しでも良くなるよう心をこめてサポートしたい」。

 金さんの司会する公演を観た同級生がこの日、「活動に興味がある」とクリスマス会に参加した。少しずつだが、広がりを実感している。

 「彼らと過ごす毎日が新しい発見の連続。大学の授業とはまた違う体験を通して学ぶ新鮮さが『tutti』にはある。この体験を、もっと多くの朝大生に知ってほしい」(金さん)

練習日待ち遠しい

 2代目責任者として活動してきた盧寿美さん(教育学部3年)は、今春同大を卒業する。「初めは担当したメンバーに泣かれるなど大変なこともあったが、信頼関係を築くうちに月1度の練習日が待ち遠しくなった。卒業は寂しいが、彼らから学んだことを教員となって生かしたい」。

 障害の重度、専門知識をもった教員の不足など諸事情から、民族教育を受けることを望みながら朝鮮学校に通うことのできない同胞障害者もいる。互いの居住地が遠く離れていたり、人材不足などの理由から、障害者同士が集まる場を設けることさえ難しい地方もある。

 その解決策として「tutti」活動が有効だと指摘するのは、朝大研究員に所属する連絡会の成基香さん(25、東京学芸大学大学院2年、障害者教育専攻)だ。

 「『tutti』から巣立っていった朝大生たちが、各地で教員や地域社会の一員としてその輪を広げることが人材不足解消につながる。『障害に対する同胞社会の理解』を深める芽を卒業生たちがどれだけ育ててくれるのか、今から楽しみなんです」(李明花記者)

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朝大ボランティア50人にアンケート

[朝鮮新報 2004.1.13]