「万景峰92」号、26日午後7時過ぎ出港 |
25日、約7ヵ月ぶりに新潟市の新潟西港に入港した「万景峰92」号が26日午後7時過ぎ、予定から9時間遅れて同港を出港した。第411次同胞短期祖国訪問団、修学旅行目的の朝鮮大学校学生ら約200人が乗船。国際旅客ターミナルでは 総連活動家と同胞、祖国訪問者の家族ら約100人が朝鮮の国旗を手に訪問者、乗組員らを見送った。出港に先立ち、チャン・チャンヨン船長は書面で声明文を、南昇祐 総連中央副議長の談話も発表され、日本当局が検査の名の下に行った非友好的な対応などについて強く抗議した。また同日、「万景峰」号の運航を考える緊急集会(25日)参加者らは、新潟県庁、新潟市役所を訪れ、集会で採択された要請文を県知事と市長あてに手渡した。 毅然とした態度
26日、午前10時の出港予定時間を前に朝8時前から祖国を訪問する同胞らが祖国訪問記念館に集まり始めた。だが、船舶の安全性を検査する「ポート・ステート・コントロール(PSC)」での「5項目の改善の是正命令に対する措置が取られない限り船を出航させない」という日本当局の姿勢により、定時出航は難しくなった。 午前8時から記念館内で行われた説明会では、現況報告の後、「一刻も早い出港のため努力し続けている、しばらく待ってほしいとの話があった」旨が伝えられた。 短期祖国訪問団のメンバーはほとんどが高齢の1世同胞。長時間の待機による健康が憂慮されたが、同胞らは疲れた表情ひとつ見せず、毅然とした態度で出国手続きを待っていた。 時には体操をしながら、また孫のような朝大生とともに民謡を歌い、オッケチュムを踊りながら、記念館内で時間を過ごした。 今回乗船予定のすべての人たちは、もともとは4〜6月にかけて同船で祖国を訪問するはずだった。訪問予定が遅れたため、祖国に住む孫の結婚式を9月に延期したという李畢先さん(77歳、長野県)は、「日本当局の不当な差別政策に怒りを禁じえない」と語った。 「待ちに待った祖国訪問への道。日本当局は、われわれの祖国往来の道を閉ざそうとしているが、それに屈せず堂々とした姿で訪問しましょう」。同訪問団の李東烈団長(62歳、愛媛県)も同胞らに訴えた。 朝大生たちは、夜行バスを利用して午前7時頃に現地に到着。「厳戒態勢に怖さを感じた」(諸英希、金美好さん=教育学部)、「何とかして不備な個所を見つけ、『万景峰92』号に悪印象を与えようとする日本当局に怒りを感じる」(朱宰浩さん=教育学部)、「一刻も早く船に乗りたい」(朴琴愛=短期学部、孫昌一さん=外国語学部)と口々に話していた。 許しがたき冒とく
「万景峰92」号の船員たちも、国際的な慣例と常軌を逸した検査に強い不満を露にした。 チャン・チャンヨン船長は、「朝鮮民主主義人民共和国の尊厳と権威に対する許しがたき冒とくであり、人道主義的な問題を政治的籠絡物に変化せしめ、朝・日関係を対決状況へと追いやろうとする極めて危険千万な行為である」と抗議した。 船員のリ・ヨンテさんは、「日本当局はなぜ、入港を阻もうとするのか。同胞たちの祖国訪問への道を妨げるのではなく、朝・日平壌宣言を履行するよう改めて求めたい」と語気を強めた。 入港時に同胞らの心暖まる熱烈な歓迎を受けて、「祖国に対する彼らの強い思いを感じた」と話す接客係のパク・ヨンランさんは、「祖国を訪問される同胞たちが快適な船旅を送れるよう、誠心誠意サービスしたい」。 言いがかりに反論 一方、「万景峰92」号の入港に反対する日本の団体側が、同胞らがターミナルに旗ざおを持ち込んだことと人員について抗議した問題で、 総連側は、「旗ざおについては新潟港湾事務所を通じて事前に許可を得ていた。人員は同事務所の指示のもとになされた」と説明した。 また25日、何者かが総連の関係者と見られる者から「殺すぞ」と暴言をはかれたとして、警察当局に被害届を出した問題に関しても 総連側は総連をおとしいれようとする謀略としながら、「まったくの事実無根」であることを弁護士を通じて、同当局に申し入れた。 [朝鮮新報 2003.8.28] |