〈世界民主青年連盟第16次総会〉 新秩序構築へ変革の声 |
世界民主青年連盟第16次総会が3月4日から7日にかけてキューバの首都ハバナで開催され、世界70の国と地域から約150人の代表が参加した。総会には在日本朝鮮青年同盟の代表団(団長=朝青中央文達勝副委員長、ほか3人)が朝鮮の金日成社会主義青年同盟の代表団とともに参加、総聯と朝青の活動を世界に向けて広くアピールしながら、国立大学入学受験資格問題をはじめとする日本当局の差別政策の是正を訴えた。(李相英記者) 社会主義の再生
米国の対イラク武力行使に反対する国際世論が日増しに高まるなか開催された今回の総会では、平和をめざす世界の青年学生の国際的連帯をよりいっそう強化することが討議され、混沌とする国際情勢の中でも反帝、平和のスローガンのもと、国際青年運動を発展させていくことが決定された。 総会には、社会主義、共産主義など、従来の左派勢力の範疇にはおさまらない広範な勢力が参加し、社会主義再生運動と反グローバリズム運動、そして反戦運動が大きく合流する場となった。 「社会的不正義と戦争がまかり通る今の世界とは別の、もう一つの新しい世界を作れるかどうかは、われわれ若い世代にかかっていると思う。そのためにもより広範な連帯と協力が必要だ」とキューバ共産党青年同盟のオットー・リベロ・トレス氏は強調した。
米国の帝国主義的な政策と、新自由主義にもとづく西欧先進国主導の「グローバリゼーション」の生み出す深刻な矛盾が世界的規模で表れている、と総会の政治宣言でも指摘された。 また「帝国」としての暴力的な顔を露呈させた米国の地球規模の恒久戦争政策に抗して、「もう一つの世界は可能である」という、ブラジルのポルトアレグレで今年1月に開かれた世界社会フォーラムにおいて参加者から繰り返された言葉が、今会議においてもしばしば聞かれた。 「現状に異議を唱えるだけの段階はもう過ぎた。新しい代替案を若い世代が示さなければ」と語るのは、ブラジルのマウロ・ビアンコ氏。 既存のものに代わって信頼に値する新しい秩序を構築しようという若い世代の変革への強い意志が、戦争と抑圧という暴力に対抗するもう一つの大きな潮流として生まれてきた意義は大きい。 朝鮮の立場に理解
キューバは1959年の革命勝利以降、アメリカの一貫した経済制裁と軍事的脅威を受けながらも社会主義体制を守ってきた国だ。そうした国での開催だけに、米国の「帝国主義的世界支配戦略」に対する非難の声が強く湧き上がった。また緊迫するイラク情勢とともに米国の軍事的圧力による戦争の危機が日増しに高まる朝鮮半島情勢にも少なからぬ関心が集まった。 総会2日目に演説した金日成社会主義青年同盟代表団の吉哲赫団長は、米国の不当な対朝鮮政策を強く非難し、核問題を解決し地域の安定を望むなら朝米間に不可侵条約が締結されなければならないと訴えた。 不可侵条約の締結を求める発言には、会場から会期中一番とも思える大きな拍手が起こるなど、朝鮮代表団の発言はイラク代表やパレスチナ代表のそれとともに、総会全般を通して参加者の耳目をひいた。米国の横暴さに対する非難と同時に、「超大国」に対して一歩も引かず堂々とわたりあう姿に、朝鮮の「心意気」を感じる、という声も聞かれた。 総会で採択された政治宣言とアジア太平洋地域決議、そして国際連帯決議では、朝鮮半島問題がそれぞれ言及された。とくに総会の最重要文書である政治宣言文に、北南共同宣言支持と駐韓米軍の撤退の要求に加え法的根拠を持つ朝米不可侵条約の締結を支持するとの文言が入ったことは、朝鮮の対米自主外交に対する理解と共感が青年たちの間で高まりつつあることをうかがわせた。 世界民主青年連盟とは 1945年11月ロンドンで世界平和と民主主義の確立を目ざして結成された国際青年組織。国連に認定されたNGOで、経済社会理事会および国連の招集する各種会議にオブザーバーとして参加し、理事会への仮議題提案権を持つ一般協議資格を所有している。本部はハンガリーのブダペストに置かれている。現在103の国と地域から162の団体が加盟しており、社会主義、共産主義を志向する青年学生団体を中心に構成されている。朝青は74年1月25日に加盟。 主な活動としては、4年に一度の世界青年学生祭典をはじめとする各種集会、会議の開催および国際会議への参加、出版物の発行など。声明の発表、各種抗議行動も行い、青年学生の国際連帯をスローガンに世界各国へ代表団を派遣し友好を深めるなど、国際青年学生運動発展のための活動を世界規模で行なっている。 (関連記事) 〈世界民主青年連盟第16次総会〉 「幅広い交流を」朝青代表団 [朝鮮新報 2003.3.31] |