top_rogo.gif (16396 bytes)

〈関東大震災−朝鮮人虐殺から80年〉 過去清算の世論高揚へ

 関東大震災(1923年9月1日)時の朝鮮人虐殺80周年に際し、犠牲者が埋められた東京荒川の河川敷で8月31日、在日本朝鮮青年学生追悼式が行われた。青商会、朝青、留学同に所属する若者、学生らと朝高、朝大生、荒川周辺の同胞ら800余人が参加した。また総聯中央の南昇祐、゙令鉉の両副議長も参加した。一方、30日には日本の市民団体などが主催し、埼玉の熊谷市勤労会館で講演会とフィールドワーク、東京都立川市のアミューたちかわではフィルム&トーク「歴史の教訓に学ぶ・なぜ朝鮮人大量虐殺が起きたのか」が催された。30〜31日に東京亀戸で開かれた記念集会では、立教大学の山田昭次名誉教授が「関東大震災時の朝鮮人殺害事件−国家責任、民衆責任」と題し講演した。

荒川河川敷で同胞青年学生が追悼式

青年学生追悼式では演劇も披露された

 在日本朝鮮青年学生追悼式ではまず、主催者を代表して青商会中央の具本憲会長があいさつ。「当時、軍と警察、自警団により6600人を超える朝鮮人が殺されたにもかかわらず、日本政府は今に至っても真相を明らかにせず、謝罪も補償も行っていないばかりか、日本社会では反総聯、反朝鮮人策動が日増しに露骨化している」と指摘しながら、「われわれは歴史をしっかり認識し、日本による過去清算の世論を高めて行こう」と語った。

 連帯あいさつを行った日本青年団協議会の小川里津子社会女性部長は、「日本政府は拉致問題の解決がない限り日朝国交正常化はありえないと主張しているが、われわれは朝鮮植民地支配の歴史、震災時の朝鮮人虐殺の歴史も克服されなければならないと思っている」とし、追悼式がそうした契機になることを願うと述べた。

 追悼式では青商会、朝青、留学同3団体による共同アピール文が発表され、日本政府に過去清算を促すとともに、同胞らに対する差別政策と弾圧を是正させる運動を繰り広げていくことなどを呼びかけた。

 また、北と南、在米の連帯団体からのメッセージが紹介されたほか、目撃者の証言を集めたビデオの上映や虐殺の史実を描いた演劇が披露された。参加者らは演劇の中で犠牲者に黙祷をささげた。

埼玉では講演会とフィールドワーク

慰霊塔を訪れたフィールドワーク参加者

 埼玉で行われた講演会とフィールドワークは、埼玉県平和運動センター、埼玉教職員組合、埼玉高等学校教職員組合が主催したもの。

 朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進朝鮮人側事務局長が、日本弁護士連合会が25日に小泉首相あてに提出した勧告書について解説。勧告書は、軍による殺害の被害者、遺族に国が謝罪すること、虐殺事件の真相を調査し原因を明らかにすることを求めている。

 フィールドワーク参加者は、自警団により86人の朝鮮人が虐殺された旧本庄警察署(現市立民族資料館)や各地の供養塔、追悼碑などを見て回った。

立川では講演会

 立川市のアミューたちかわで行われたフィルム&トーク「歴史の教訓に学ぶ なぜ朝鮮人大量虐殺が起きたのか」(同実行委主催)では、まず関東大震災時の虐殺の模様を記憶する朝鮮人、日本人らの証言でつづった記録映画「隠された爪跡」が上映された後、朝鮮大学校講師(近代朝・日関係史専攻)の琴秉洞氏が朝鮮人虐殺事件の本質的問題について講演した。

立川市で行われたフィルム&トーク「なぜ朝鮮人大量虐殺が起きたのか」

 氏は「関東大震災と朝鮮人」と題した共著を出版している。

 講演では、@政府が戒厳令を発布A無線、通達文を通じて政府が流言を伝播B軍隊が朝鮮人虐殺を先導―の3点から、これは明らかな国家犯罪であると指摘。その根拠について、史料を交えながら分かりやすく解説した。

 主催団体の一つ、日朝友好親善三多摩会議代表委員事務局長の関口和さんは、「歴史と化している事実を正確に知ることができてよかった。三多摩では、朝鮮学校に対する差別に反対する運動も盛んに行われており、一方で朝鮮たたきが深刻化する中、意義ある集いだったと思う」と話していた。

東京亀戸で開かれた記念集会での山田昭次立教大学名誉教授の発言内容

東京都立川市で開かれた講演会での琴秉洞朝鮮大学校講師の講演内容

[朝鮮新報 2003.9.2]