ひとつの祖国
父母兄弟と 別れ惜しんで
涙ながらに 故郷はなれ
海を渡って 北海道の
炭鉱長屋に たどりつく
生まれ育った 古里の
村じまんに 花が咲き
いつか帰れる 日を想い
まぶたにうかぶ オモニの笑顔
悲しみ切なさ 越えて生き
過酷な労働 耐え抜いて
待ち焦がれた ひとつの祖国
見ることかなわず もどらぬ旅に
少女のころよく聞いた 統一の話
二年後五年後と おとなは言った
時は流れて 白髪のわたし
ふるさと見たいと 孫が言う
ナラがふたつに別れて 半世紀
見られるだろうか 私の世代に
なぜに遠い 祖国統一
早くおいでよ 統一列車
(千葉県在住)
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