関東大震災から79年

各地で虐殺された朝鮮人追悼


「日本人への問い」震災題材に演劇

歌舞音楽集団「荒野座」東京第1朝中生対象

 関東大震災時の朝鮮人虐殺を題材にした演劇「関東大震災―命ある限り―」を20年間上演し続けている歌舞音楽集団「荒野座」が7日、東京・葛飾区の文芸センターで東京朝鮮第1初中級学校中級部全生徒を対象に公演した。

 演劇のほかに歌や踊りなども披露。第1朝中舞踊部の生徒が「扇の舞」を踊った。最後は、朝鮮統一への願いをこめて「リムジン河」を全員で合唱した。

 演劇は、自警団に追われ避難所に逃げ込んだ朝鮮人青年をかくまおうとした日本人青年との交流を描いている。だが、最後は2人とも自警団に殺される。朝鮮人青年は最後の声を振り絞って、「朝鮮独立万歳!」を叫ぶ。

 大震災発生直後から、「朝鮮人が暴動を起こしている」「井戸に毒薬を投げ入れた」などのデマが飛ばされ、多くの罪のない朝鮮人が虐殺された。「荒野座」では、今も続く在日朝鮮人差別に対して目をつぶってはならないと、震災発生を前にした8月に毎年公演を行ってきた。

 劇を見た同校の呉伯根校長が「ぜひ生徒たちにも見せたい」と、今回の特別公演が企画された。

 公演終了後、座長の高田亮子さん(46)に花束を渡した中級部3年の張龍俊君は、「79年経った今でも、負の歴史を忘れずに演じ続けていることに感動した。日本の多くの人たちと交流を深めて、もっとお互いに友好的になれれば。未来に輝けるようがんばりたい」と感想を語った。

 高田さんは、「差別は何も解消されたわけではない。演じ続けるのは、今を生きる日本人への問いかけでもある」と強調した。(文聖姫記者)

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