人権協会連続セミナー「社会的差別を考える」
差別禁ずる法整備急務
日本政府・社会の問題浮き彫りに
在日本朝鮮人人権協会が主催する連続セミナーの3回目「社会的差別を考える『いつまで続く、社会の差別 入居、就職差別、チマ・チョゴリ事件、差別発言―その防止・救済制度?』」が6日、東京・飯田橋の東京ボランティア・市民活動センター会議室で行われ、同胞、日本市民ら約100人が参加した。3回目となる今回のセミナーは、在日コリアンをはじめとする在日外国人の周辺で起きている身近な差別がテーマ。根強い民族差別をはじめとする外国人差別を取り上げながら、その現状と本質、防止策などを考えた。
セミナーではまず、青山大学で国際法を担当している申惠窓ウ員が、「民族差別・外国人差別の解消をめざして―人種差別撤廃条約を日本で活かすために」というテーマで発言した。日本も1995年に加入した人種差別撤廃条約、日本の国際法上の義務や、諸外国の差別禁止法について述べながら、「日本に差別を撤廃できる法律がないということが、決定的な問題」だと指摘。@諸外国の差別禁止法と似たような法律を作るA気軽に申し立てができる人権機関を作るB被害者側がもっと気軽に使いやすい手続きを求める――などの法的な整備をしていくことで社会的な認識を変えていかなければならないと語った。 続いて「今の挑戦、将来の挑戦 2050年、何人に1人が外国籍住民?」というテーマで、在日外国人からみた差別に関する日本社会の問題点について、ジャーナリストのトニー・ラズロ氏が発言した。入店拒否、公共浴場での入場拒否、消防団への不加入など地域社会の差別事例を挙げながら、「国連の予測によると少子化、高齢化にともない、2050年には日本の人口の87%を外国人が占めるという説(1995年の労働力人口対高齢者人口比率〈高齢者1人に対する15〜64歳の労働力層が4.8人〉を維持しようとした場合)もある。外国籍住民も一緒に暮らせるように日本が法律、制度、社会的構造を変えていくことが急務である」と訴えた。 最後に、「実効的な救済を得られるのか―人権擁護法案と人権侵害被害者」というテーマで、人権協会会員でもある弁護士の殷勇基氏が発言。同法案に定められている、「人権機関を法務省の外局に置く」などの内容が、その独立性を求める原則に合わないと国連から問題視されている点を批判的に検証した。殷氏は、「人権機関の設立は、在日外国人の差別解消に必要不可欠だ。そのような意味で、同法案には独立性をはじめ、人権教育などさまざまな点での改善が求められる」と述べた。 外国人留学生の支援活動を続ける「NPO法人東京エイリアンアイズ」の高野文生代表は、「まだまだ差別があることを活動を通して痛感している。今後も在日外国人の方々と力を合わせて差別撤廃に取り組んでいきたい」と語った。 かながわ外国人住まいサポートセンターの「安さんは、「住まいの問題を通して、在日外国人が抱えるさまざまな差別に直面する毎日だ。『不自由だけれどどうにかなってしまっている』在日外国人差別の現状を少しでも改善し、弱者のいない社会を実現していきたい」と述べた。 |