みんなの健康Q&A
C型肝炎(下)−予防
初期症状なく、まめに検査
Q:B型肝炎はどんな経過をたどるのですか?
A:前回にも述べましたが、成人でB型肝炎に感染しても劇症肝炎にならない限り、完全に治ります。B型慢性肝炎の患者さんのほとんどの人はB型肝炎キャリアー(保有者)の母親からの感染を含む新生児、または幼少時の感染によるものです。慢性B型肝炎のキャリアーの90%はヘルシーキャリアーと言って健康な保有者で一生肝炎を発症しないのです。ただ10%の人々が患者自身が持っている免疫機能の働きによって、肝炎が進んでいくのです。B型肝炎が進むと肝硬変から肝臓癌へ進んでいきます。ただ、C型肝炎と違ってB型肝炎の場合肝硬変を経由しないで肝臓癌が発生することがあるので要注意です。B型肝炎の方については定期検診の重要性を強調してもしすぎることはないと思います。 Q:B型肝炎、C型肝炎の感染率は国によって違いがありますか? A:B型肝炎の場合、発展途上国と先進国との間に感染率の差があります。パキスタンなどでは10%以上の陽性率です。輸血するときに、B型肝炎ウイルスを取り除くなどの対策が充分にとられなかったことや、B型肝炎のワクチン対策が充分にとられなかったことが、陽性率が高い原因です。アジア各国でも差があります。現在、台湾では人口の7〜8%、南朝鮮では人口の4〜5%がB型肝炎キャリアーです。それに比較して日本ではB型肝炎キャリアーの母親から新生児への感染を予防するワクチン接種事業の成果などがあり全体としての感染率は1%を割っており、20歳以下の若年者の感染率は0.1%です。在日同胞については2〜3%程度と推定されています。C型肝炎の場合にはほとんど差はなく、低いところで1.0%くらい、高いところで2.0%くらいです。南朝鮮も1.5%程度です。在日同胞においては日本人よりもより高く1.5〜2.0%と推定されます。ただ一部5.0%を超えるモンゴルやエジプトなどの国もあります。 Q:肝硬変、肝臓癌の原因は何ですか? また、1年にどれ位の人がそれが原因で亡くなるのですか? A:肝臓病の原因には種々の原因があり、アルコールや薬物による肝障害、いまだに原因不明の自己免疫性肝炎などありますが、意外に数は少なく、多くの慢性肝臓病の原因は肝炎ウイルス感染です。肝硬変、肝癌の約70%はC型肝炎、約20%はB型肝炎によるものです。B型肝炎の方は年に1000人あたり7人、C型肝炎の方は1000人あたり30人の方に癌が発生します。近年、肝硬変で3000人の方が、肝癌では3万人の方が亡くなっています。肝癌は男性の癌死亡のうち肺癌、胃癌についで3位、女性でも6位に位置しています。 Q:インターフェロンの副作用にはどのようなものがあるのですか? A:インターフェロンの副作用には、初期(投与後1〜3カ月)に出るものと、後期(投与後4〜6カ月)に出るものがあります。初期のものとして発熱、筋肉痛、食欲不振などのインフルエンザ症状が、ほとんどの患者さんに見られます。坐薬投与などによって、対処することができます。後期のものには、うつ症状、脱毛などが見られます。いずれも主治医と相談して対処することが大切です。 Q:B型、C型慢性肝炎の治療において、安静や食事療法はどんな意味がありますか? ゴルフなどの運動はいいのでしょうか? A:C型に限らず、慢性肝炎の治療において、食後30分〜1時間程度の安静が重視されたときがありました。現在、それほど重要視されてはいません。散歩、水泳などの適度の運動はもちろん、月に1〜2回程度のゴルフも問題ありません。食事についても極度に脂肪の多いもの以外は、何の制限もありません。 Q:肝臓癌の予防には何が重要なのですか? また、肝臓癌の早期発見のためには何をすべきですか? A:すでに述べたように、C型慢性肝炎については、インターフェロン治療のみが肝臓癌に対する予防効果が認められています。B型肝炎の治療薬には、肝炎を抑える効果はありますが、肝臓癌を予防する効果は完全には認められていません。一方、予防と同時に肝臓癌の発生を早期に発見する必要があります。肝臓癌を早期に発見すれば予後が良いことは、多くの施設から報告されています。B型、C型慢性肝炎の患者にあっては肝臓癌の早期発見のためにエコー、CT、MRIなどの画像診断(エコーは3カ月に1回、CT、MRIは年に1回程度)および血液検査とりわけAFP、AFPL3分画、PIVKAUなどの腫瘍マーカー(癌の目印となる血液検査)を1カ月1回定期的に行うことが重要です。(神戸市長田区房王寺町3―5―25、TEL 078・612・5151) |