犠牲者の無念風化させまい

浮島丸事件追悼集会参列者、真相究明誓う


 8月24日に行われた「浮島丸事件」の犠牲者を追悼する集会では全員が黙とうした後、主催の「浮島丸殉難者を追悼する会」の野田幹夫会長があいさつした。「夢にまで見た故郷や肉親との再会で喜びにわき返っていた最中に大惨事に遭遇し、生命を奪われた悲しみの無念はいかばかりだったろう」と犠牲者に思いをはせ、「歴史的背景を持つ事件を風化させまい」と決意を述べた。

 野田会長は、戦争参加への道を開く「有事法制」の整備が国会で進められていることにも触れ、過ちを繰り返そうとする日本政府に警鐘を鳴らした。金徳春・総聯三丹支部委員長、黄基俊・民団舞鶴支部委員長も追悼の言葉を述べた。続いて、舞鶴朝鮮初中級、京都朝鮮中高級学校の生徒、綾部市などの日本の高校生ら34人が追悼歌「はまなすの花 咲きそめて」を合唱。参列者全員が浮島丸の沈んだ海に花を捧げた。

 午後には南の市民団体「光州市民連帯」との交流集会が舞鶴市商工観光センターで行われ、事件の真相究明を求める市民らの活動が紹介された。

 市民連帯の元代表・金良来さん(46)は、「追悼を捧げる皆さんに尊敬と感謝の意を表したい。釜山にも追悼の造形物を建てるよう努力したい」、長女、アラムさん(16)は、「日本人にとっては忘れたいことなのに、慰霊を続けているのが衝撃的でした」と話していた。【京都支局】

 【浮島丸事件】青森・大湊海軍施設部で強制労働を強いられていた朝鮮人徴用工を送還せよという旧日本海軍省の決定により、解放直後の1945年8月22日、3735人の同胞らを乗せ大湊港を出港した浮島丸が舞鶴港に寄港し、出港した直後の24日夕、舞鶴湾で突然大爆発を起こし沈没。同胞ら524人(日本政府発表)が犠牲になった。爆沈は旧日本軍による計画的犯行との説が有力だが、その真相も正確な犠牲者数も明らかにされていない。

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