北南合弁で自動車生産

8月末から駐朝外国企業に販売、中、ロへの輸出も


 南の自動車メーカー「平和自動車」と北の機械工業会社「朝鮮リョンボン総会社」との合弁により設立された「平和自動車総会社」では、8月末から、朝鮮西海の港湾都市・南浦の工場で生産した乗用車の販売を開始する。南の新聞などが報じた。

 南浦の工場は2000年2月に着工し、今年4月から生産を開始。同工場では、イタリア・フィアット社から部品の供給を受け、同社の小型乗用車「シエナ(排気量1580t)」の組立生産を行ってきた。

 車名は「フィパラム(口笛)」。まずは国内常駐の外国企業や観光業者などに販売する計画で、販売価格は1万3000米ドル。これまでに48台を生産し、すでに70台の追加生産に入っているという。現在の生産能力は年間1万台で、今後はこれを2倍に拡大するとともに、「フィパラム」に続き、小型ミニバン、トラックのほか、救急車や消防車など特殊車両の生産にも取り組む計画という。

 平和自は、1991年からベトナムでフィアットの乗用車、トラックの組立生産を手がけてきた南の金剛山国際グループの系列会社で、北での乗用車生産に乗り出すために97年、ソウルに法人登録し、98年に朝鮮リョンボン総会社と合弁会社を設立した。工場建設の投資額は5500万米ドル。平和自が70%、リョンボン側が30%を出資。北南経済協力事業の中では、金剛山観光事業に次ぐ大規模なものとなっている。

 平和自の朴相権社長は南浦工場が「総合工場」である点を強調しながら、2〜3年後をめどに中国、ロシアへの輸出にも乗り出す方針を示している。(基)

 【注】朝鮮は過去、長期的な展望のもと、南浦と元山をフリーゾーン(非関税地域)に指定する構想を明らかにしたことがある。朝鮮ではこのフリーゾーンを「保税加工貿易地帯」と呼んでいた。関係者によると、「保税」状態で「加工貿易」が行われる「地域」という名称から、無関税で原材料を輸入し、それを組み立てたり加工して再輸出するための地域という。また朝鮮では2000年末に「加工貿易法」が採択され、法整備も進んでいる。

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