閑話休題

「日本は国際社会で大人として扱われない」

寺島実朗氏の実感


 8月26日、東京・千代田区の番長会館で日朝国交促進国民協会の主催で寺島実郎三井物産戦略研究所長の「米国の世界政策と朝鮮」と題する講演を聞いた。

 寺島氏は米ブルッキングス研究所に出向後、米国三井物産ニューヨーク本店、同ワシントン事務所長などを歴任。イラン革命とイラン・イラク戦争に巻き込まれ頓挫したイラン日本石油化学(IJPC)建設では中東で奮闘した経験を持つ。

 その寺島氏の対米、対日観は説得力に富む。「冷戦後、とりわけブッシュ政権誕生後の米国はどうかしている。去年の夏の京都議定書からの離脱。世界人口のたった5%に過ぎない米国は世界の3割のエネルギーを占有し、25%のCO2 排出国だ。包括的核実験禁止条約のたなざらし、国連での小型武器取引規制への反対など米単独主義の傾向はピークに達している。国連分担金を9.11が起きるまでは払わなかった。ここに米のゆるみと奢りがある」「冷戦後の独り勝ちによって国際関係に真剣に関与する姿勢が消え失せ、今後の世界へのビジョンも全くない米国の心象はカーボーイメンタリティーである」「米国に追随し、アフガン攻撃の際には、基地を提供し米軍の後方支援を行った日本ぐらい便利な国はほかにない」「米国の核の傘の下の日本は、国際社会で今やまともな大人として扱ってもらえない」。

 2年前の南北朝鮮首脳会談については「米国がお膳立てしたものではない」と高く評価し、朝鮮民族が主体性を持って将来を決めたビジョンを隣国として尊重すべきだと語った。(粉)

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