第24回初級学校中央サッカー大会
参加校のさまざまな思い
9〜11日の3日間、茨城県のカシマグリーンランドサッカー場で行われた第24回在日朝鮮初級学校中央サッカー大会。全国各地から集まった約1000人の初級部サッカー選手たちが熱戦を繰り広げた今大会では、京都第1初級が見事初優勝に輝いた。連日の酷暑のなか、今年も数々のドラマが生まれた。日本各地の朝鮮学校が「中央サッカー大会」に参加するその思いはさまざま。いくつかの学校にスポットを当てた。
片道3時間かけて 今大会には全部で8つの合同チームが参加した。 1人でも多くの選手たちに「中央サッカー大会」の雰囲気を味わってほしい――。教員たちのそんな思いが実り7年前の第17回大会を皮切りに、選手の数が満たない学校が同じ学区制で合同チームを組み出場しはじめた。もちろん、すべての学校が大会に出場しているわけではない。合同でも人数が集まらないため、出場を断念せざるを得ない場合もある。 そんななか月に1回、片道3時間以上かけて互いの学校を行き来しながら練習を重ねてきたのが北陸・滋賀初級合同チーム。今大会では8人制の2部で優勝した。合同練習後の宿泊場所は、学父母の家だという。部員数は全部で13人。みんな仲がいい。 「学区制が違う同士での参加は滋賀・北陸合同チームだけでしょう。部員数が少なく試合ができないという、似たような境遇のもとで活動していたのが、合同チームを作るきっかけになった」と語るのは滋賀初級の゙重鉉監督(29)。 実際、北陸と滋賀は地域がまったく別。それでも出場にこだわるのは、「それだけでも大きな意義があるから」(北陸初級の卞甲寿監督、23)だ。 「選手たちに活躍の場を提供してあげるのも監督の役目」だと語る。 選手たちは口々に、「月に1回会って練習するのが楽しい」「合同チームになってサッカーがもっと好きになった」と笑顔で話す。 練習試合にも欠かさず
大会に絶対欠かせないのがオモニたちの存在だ。毎回衣装をそろえ派手な横断幕を掲げ、選手たちに熱い声援を送る。中にはペットボトルを両手に持ち、応援をするオモニたちもいる。このような「応援合戦」の光景もまた中央サッカー大会ならではだ。 3日間、出場選手たちの飲料水や食事、試合中の応援と、何から何まで準備を怠らない。選手たちにとって何かと心強い存在だ。 愛知第7初級の5人のオモニたちは、そろいの黄色いTシャツとうちわで応援。人数は少なくても応援のパワーに圧倒される。 「その調子! 最後までがんばれ!」 試合に臨む選手同様、オモニたちの応援にも熱が入る。 2年前、豊橋初級と合同チームを組んで出場した同校。今回は人数がそろったため、11人制競技に単独で出場した。成績は3部に甘んじたが、「最後まで11人でよく戦い抜きました」と金賢柱監督(24)は語る。 同校サッカー部の後援会は去年発足された。オモニたちが中心となりアボジ会や商工会などにも呼びかけ、大会の費用をまかなった。練習試合にも欠かさず応援に駆けつけ、選手たちの成長を見守り続けた。 応援団の1人、金京美さん(37)はこう話す。 「後援会発足時からみんなでサッカー部をバックアップし、熱心に盛り立ててきた。その甲斐あってか、選手たちもそれに応えるように毎試合がんばってくれた。みんなが最後までやり遂げたこと、それが本当にうれしい。成績がすべてじゃないですよ」 女子の有力選手登場
今大会には女子の参加もあった。毎日の練習で顔は真っ黒に日焼けしていて、男の子と見間違えるほど。 今回8人制で出場した尼崎東初級の金星玉さん(初4)は帽子をかぶって練習していた。 最近では、「中央サッカー大会」への女子の出場も珍しくない。自分からサッカー部への入部を熱烈に希望したという金さんは、入部した理由を「1年生の頃からずっとサッカーが好きだった。最初はバレーボールでもしようかと思ったけど…。舞踊や声楽などの芸術系のクラブにはまったく興味なかったし、サッカーをしている時が一番楽しいから」と話す。 「まさか入部するとは思わなかったです」と笑うのは、同校に赴任して1年目の金炳秀監督(22)。 「赴任した当初、サッカー部に入りたい女子がいることをうわさで聞いていた。最初は冗談かと思っていたけど、いざ練習させてみると、男子に負けない身体能力に驚いた。すぐに入部させました。同級生の子にも実力でひけをとらない。女子だからと言って中途半端な指導はしていません。性格は…少し男勝りなところがありますかね」 来年の金さんの活躍が今からとても楽しみだ。(金明c記者) |