すべての人の心に花を TOKYO2002花の祭りコンサート

喜納昌吉さん、アリランを熱唱


喜納昌吉さん。「共に生きる」大切さを歌にこめた
 すべての武器を楽器に―。

 夏の青空の下、東京タワーと飛んで行く飛行機、そして夜空に輝く星の下で、8日、沖縄本土復帰30年(2002年)と奄美本土復帰50年(2003年)にちなんでTOKYO2002国連文化遺産年記念祭「すべての人の心に花を 花の祭りコンサート」が開かれた。東京・港区の増上寺で行われたこのイベントが日本の首都、東京で開催されるのは今年で2度目。

 喜納昌吉&チャンプルーズをメインに、坪井豊(奄美民謡)、民族楽器重奏団ミナク、金英蘭朝鮮舞踊研究所(在日朝鮮・伝統芸能)、ウリパラム(在日韓国・伝統芸能)、花バンド(沖縄)、磯部正文、うるまエイサーが出演したコンサートでは、「すべての人の心に花を」を合言葉に、沖縄、奄美、朝鮮の伝統芸能と現代音楽で、多文化、多民族との「共生」を呼びかけた。

朝鮮舞踊「チャンゴの舞」(金英蘭朝鮮舞踊研究所・金仙玉)

民族楽器重奏団ミナクの演奏

サムルノリグループ・ウリパラムのパフォーマンス

 喜納昌吉さんは「赤い色は赤く、黄色い色は黄色く、白い色は白く輝く、大和は大和として、沖縄は沖縄として、アイヌはアイヌとして輝くこと。共生とは、お互いの個性が輝くということ」と話した。そして、今なお分断されている朝鮮半島について触れながら、38度線の北側では「アリラン」祝祭が開かれ、時を同じく南で開催されたワールドカップでも広く歌われた「アリラン」を、引き裂かれた南北を結ぶ民族の歌と紹介、朝鮮半島の分断に関与した米国などあらゆる国々に対し「ただ、すみませんでしたと言って頭を下げればすむ問題じゃない。責任を取るということは、38度線をなくすということ。共産主義も資本主義もみな武器を捨て、文化と歴史に戻れば良い」と話した。すると客席からは「そうだ、そうだ!」「がんばれ!」の呼応。

 そして、「北と南がひとつになるよう、決して戦争に巻き込まれないよう」願いを込めて、アリランを歌った。舞台には、在日コリアンの芸術家たちが登場し、アリランの歌に合わせて華麗な舞を舞った。喜納さんは「アリランは本当に美しい歌だと思う。戦争にはふさわしくない」と話し、朝鮮半島がひとつになるようにと「すべての人の心に花を」を歌った。

 すべての武器を楽器に、すべての基地を花園に、すべての人の心に花を、戦争よりも祭りを…。その歌声に乗って平和への強い願いが東京の夜空に響き渡った。この日舞台に上がった民族楽器重奏団ミナクの尹春錦さん(24)は、「朝鮮の統一にこれほどまで情熱を傾けてくれる日本人のアーティストがいることに感動しました。今後も音楽を通じてこうした活動をしていけたら良いと思いました」と話し、ウリパラムの兪暁久さん(50)は「同じ在日でも北と南がこのようにジョイントすることはめったになかったので、喜納さんに間に立ってもらってとても良い機会が持てて楽しかったです。アリランの歌に合わせて双方の舞踊家が手を取り合ったとき、これが統一だ…と思いました」と話した。
(金潤順記者)

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