高句麗今昔を描く 平山郁夫展
世界遺産登録に協力
日本画家でユネスコ親善大使の平山郁夫さん(71)の展覧会「高句麗今昔を描く 平山郁夫」展(NHK、朝日新聞社など主催)が、8月21日から9月3日まで、岡山市内の岡山・高島屋で始まる。これは「古代日本と深いつながりをもつ高句麗壁画古墳群は人類と東アジアの貴重な財産」という思いで、ユネスコへの文化遺産登録に協力しようとするもの。本展示には、3年半にわたって描きためたスケッチ78点と本画5点が出品される。収益金は壁画の保存修復基金などに充てられる。
高句麗壁画古墳は、高句麗時代(紀元前3世紀〜7世紀)に造られたもので、平壌郊外に約90基が点在する。平山画伯は97年以来、これまで6回訪朝。代表的な高句麗古墳壁画の江西大・中墓、安岳3号墳、水山里古墳など9基を視察した。 平山さんによると世界遺産登録に関する作業は、現在、本申請が行われており、近い将来、正式に登録される見込み。これまで、世界遺産に関わる支援のために、申請に必要な調査のための温湿測定器やビデオカメラ、パソコン、車両などを提供してきた。 そのかたわら、朝鮮民主主義人民共和国の人々や暮らし、古墳壁画と古代日本の深い関わりについて日本の人々に深く知ってほしいと、朝鮮国内の旅を精力的に続け、スケッチを描いてきた。古墳の全景や壁画の躍動する四神図、平壌市内の七星門、チュチェ思想塔、高麗の都、開城の南大門や世界最古の大学として名高い成均館などをスケッチし、ユネスコの文化・自然遺産が考えられている妙香山普賢寺でも大雄殿などを描いた。また、朝鮮の今を生きる人たちにスポットをあて、オペラ歌手や女優の人物画のほか、苗が美しく育つ5月の田圃や刈り取りの後の田園風景もスケッチした。いずれも平山画伯の高句麗壁画に寄せる熱い憧れと文化財保護に寄せる切々とした思いが作品すべてに脈打っている。 高句麗壁画を描いた平山郁夫展は、昨年7月、東京を皮切りにすでに日本各地11カ所を回り、今後は浜松展(9月11日〜23日)、山形展(10月16日〜11月10日)が予定されている。 |