人・サラム・HUMAN
C級審判員の資格を持って
東京初級部バスケットボール責任者・康哲敏さん
東京・板橋区の東京朝鮮第3初級学校の教員で、都内朝鮮学校の児童を対象とした体育サークル委員会・初級部バスケットボールの責任者。高校、大学時代は陸上部に所属した。
「大学卒業後、教員になってバスケ部を受け持つことになったんです。でも、当時はバスケットボールについてそれほど詳しい知識を持っていませんでした」 児童への責任感から、手探りで日本の学校のバスケットボールの試合を探して見て回り、そこで「東京都ミニバスケットボール連盟」の存在を知った。そして同連盟主催の、審判講習会に参加。東京都ミニバスケットボール協会C級審判員の資格を取得した。 「はじめはなんとなく恥ずかしかったですね。朝鮮学校の教師でそこへ行くのが1人でしたから。今は他校の先生たちも講習会に参加するようになりましたけど」。現在、C級審判員の資格を持つ朝鮮学校教師は康さんを含め、4人になった。 東京体育サークル委の計らいで、昨年からは毎年恒例で開かれる関東地方初級学校バスケットボール大会に3部制が取り入れられるようになった。「1人でも多くの子供たちが競技を楽しみ、彼らに次の目標に向かって努力する機会を与えてあげたい」。3部制導入には康さんのそんな思いが込められている。「勝敗だけが大切なんじゃない」。スポーツを通じて子供たちが心と体の健康を保ち、チームプレイを通じて団結力と協調性を育むことこそが価値あるものだ、と康さんは話す。 苦難の底の生命の水脈 小説「地上に匙ひとつ」描いた玄基榮さん 1948年の済州島「4.3事件」をテーマにした「韓国」の小説「順伊おばさん」に続いて、自伝的小説「地上に匙ひとつ」(平凡社)が日本語で翻訳出版された。 血塗られた虐殺の島の悲惨と悲しみの底に流れる、美しい生命の水脈。嘆息の出るような若い命のリズムと躍動感にあふれる物語である。 前作「順伊おばさん」でも、5万人ともいわれる米軍政による済州島民大量殺戮を物語の背景に描いた。今度の作品も過酷な現代史を背景に純粋な生命のきらめきを描き上げ、「韓国」が生んだ「成長小説」の傑作と称えられている。 玄さんは80年、保安司に連行され、酷い拷問を受け、その後遺症である心的外傷後ストレス障害(PTSD)に長い間苦しんだ。 「4.3事件の大虐殺、光州事件の民衆虐殺の惨劇を記憶し、語り伝え、真相を明らかにしなければならない」 |