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「日本ハムお前もか」と言いたくなる不祥事。BSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)対策で国が実施した国産牛肉買い取り制度を悪用し、日本ハムの子会社である日本フードが、対象外の輸入肉を業界団体に買い取らせていたのだ。すでに大手スーパーやデパートなどでは、日本ハムの製品を撤去する騒ぎとなっている。雪印の問題覚めやらぬうちに、また同じような事件が起きてしまった
▼このような出来事が続くと、何を信じて食べ物を選択すればよいのか。実際、日本フードサービス協会が実施した意識調査でも、食の安全に対する関心が急激に高まっているとの結果が出た。素材や産地、生産方法などをきちんと知らせてほしいとの要求が高い ▼そもそも、国産牛肉の買い取りは、BSE問題で売り上げが急激に落ち込んだ業者の苦痛を少しでもやわらげるもの。それを悪用するとは言語道断だ。しかも、大手だから始末に負えない ▼昨年9月にBSE感染牛が見つかってからもうすぐ1年。この間、その関連による経営破たんが64件発生したという。その8割が中小企業。中でも食肉加工卸・小売りなどの倒産が相次いだ。同胞が多く携わる焼肉店経営も17社あった。それほど中小企業が苦しい思いをしているだけに、大手のこうした悪行は許されるものではない ▼とは言え、破たん件数も3月以降は減少傾向にある。業界側の地道な努力の結果だといえる。同胞の焼肉業界でも、11都県が協力して焼肉フェスタを開いた。そうした努力に水を差すような行為は絶対にあってはならない。(聖) |