在朝被爆者に謝罪、補償を
反核平和のための朝鮮人被爆者協会会長談話
朱成雲・反核平和のための朝鮮人被爆者協会会長が5日、日本の広島と長崎に原爆が投下されてから57年になることと関連し、発表した談話全文を以下に紹介する。 (朝鮮通信) 原爆投下は罪悪 米国が広島と長崎に原爆を投下してから57年になる。 米国は、第2次世界大戦の終結が明白になっていた1945年8月6、9の両日、世界史上初めて広島と長崎に原爆を投下して数十万人の生命を奪い、両都市を一瞬のうちに廃墟にする大殺りく犯罪を働いた。被害者のなかには、日本帝国主義に強制連行された数万人の朝鮮人もいた。 核兵器の使用は、人類を大量殺りくする極悪な蛮行であり、いかなる状況のなかでも決して容認されない重大な罪悪である。 核惨禍以降、核兵器廃絶をめざすたたかいが至るところで力強く繰りひろげられたが、人類は新世紀に入った今日までも依然として核による破滅の危険から脱することができないでおり、新しく登場した米国のブッシュ政権によって核の脅威は増大している。 公開された資料によっても、米国の各核兵器庫には、5400個の大陸間弾道ミサイルの弾頭と戦略爆撃機から投下および発射できる1750個の核爆弾および巡航ミサイル、1670個の戦術核爆弾をはじめ携帯用核兵器と核地雷、中性子弾など延べ2万個の各種核兵器がある。 しかし、米国は最近、「対テロ」の名目のもと、地下浸透用核弾頭の開発と新しい小型核兵器の開発に血道をあげており、世論の反対にもかかわらず臨界前核実験を引き続き強行しようとしている。 米国のこうした犯罪的な核政策と、それによって世界的範囲で絶え間なく拡大される核軍拡競争は人類の平和な生活を重大に脅かしている。 公然と核保有発言 米国に便乗して日本も最近、軍事大国化、核武装化野望を露骨にさらけ出している。日本の政治家と政府の高官らが公式の場で、日本は核兵器を所有できると主張している。さる4月初、小沢一郎自由党党首が日本は決心さえすれば一朝にして数千個の核弾頭を生産することができると主張したのに続いて、5月中旬、安倍晋三内閣官房副長官が核保有の発言をし、最近では福田康夫内閣官房長官も同様の発言をした。 日本はまた、自衛隊武力の海外派遣を実現したし、「有事法制定」を通じて「大東亜共栄圏」の過去の夢を実現しようと執ように策動している。 日本は、人類史上初めて米国の原爆攻撃を受け、ひどい被害に見舞われた国として当然、核軍縮と核兵器廃絶の先頭に立つかわりに、21世紀の新しい危険な核戦争勢力として登場している。 半世紀以上も放置 さらに看過できないのは、日本政府が半世紀以上が過ぎた今まで、朝鮮にいる被爆者問題を解決せず、放置していることである。 朝鮮にいる被爆者は過去、日本帝国主義の苛酷な軍事的占領によって徴兵と徴用などで日本に強制連行され、炭鉱、鉱山、軍需工場など一番きつい労働現場で人間以下の搾取と抑圧にさいなまれながら、無念にも原爆の被害まで受けた人々とその子孫である。祖国の解放と共に多くのルートを通じて帰郷した彼らは、半世紀以上が過ぎた今でも、被爆の後遺症によって苦痛をなめているばかりか、2世、3世の子孫にまで遺伝学的影響を及ぼすことにより精神的苦痛に悩まされ、多くの被害者が米国と日本への恨みを抱いたまま他界している。 朝鮮人被爆者問題は、日本が解決してもしなくてもすむ問題ではない。日本政府は朝鮮の被爆者たちに謝罪し、補償すべき法律的責任と道義的責任を負っている。これについては、小渕恵三元首相をはじめ日本の政府高官も多くの公式の席上で認めたことがある。 日本政府は2001年3月、朝鮮人被爆者問題に対して遅まきながら自分の責任を感じ、調査団を朝鮮に派遣して被害者の実態を具体的に調査して帰ったが、1年以上が過ぎた今まで、何の対策も講じていない。 逆に日本政府は昨年末、「渡日治療」を基本とする「海外被爆者支援対策」なるものを発表することにより、朝鮮の被害者をふたたび冒とくした。 過去、強制連行して牛馬のごとくこき使い、原爆の被害まで与えたわが人民に自分の犯した罪に対して許しを請い、補償するかわりに、治療したいのなら日本に来い、こうせよというふうにわが朝鮮の被爆者問題を解決しようとする日本の行為は、初歩的な常識も道徳もわきまえない無礼な行為である。 現在、朝鮮の被害者たちは、70歳以上の高齢で長旅が困難であるうえ、原爆による病気は慢性的なものなので、彼らが日本に渡って1回や2回の短期的な治療を受けて治るものではない。 にもかかわらず、日本政府が現在も「渡日治療」に固執しているのは、過去の犯罪行為をうやむやにし、謝罪と補償を回避しようとすること以外の何ものでもない。 核威嚇を止めよ 反核平和のための朝鮮人被爆者協会は、人類に恐ろしい核惨禍を被らせただけでは足りず、今日に至っても、核兵器を振りまわしながら世界制覇を追求している米国と、国際社会の正義の声に背を向け、朝鮮人被爆者問題と関連して恥知らずな立場に旧態依然と固執している日本政府の策動を厳しく糾弾しつつ、次のような立場をせん明する。 1、米国は、人類に対し原爆のような大量破壊兵器を使用したことについて全世界に謝罪し、朝鮮人被爆者をはじめとするすべての被害者に当然の補償をすべきであり、核兵器で他の国と民族を威嚇、恐喝する行為を中止し、推進中の新しい核兵器の開発を直ちに放棄すべきである。 2、日本は世界唯一の被爆国として核武装化策動を取り止め、口先ではなく、行動で核軍縮と核兵器廃絶の意志を示すべきである。 3、日本政府は、被爆者援護において日本人と朝鮮人と差別せず公正さを保ち、それに基づいて朝鮮に住んでいる被爆者に1日も早く謝罪、補償すべきであり、すでに死亡した被害者に対してはその遺族に徹底した補償を行うべきである。 われわれは、核兵器のない平和な世界で暮らそうとするすべての平和愛好団体と人士がわれわれの闘争に支持と連帯を寄せてくれるものとの確信を表する。 |