米軍装甲車の女子中学生れき殺事件
「免罪符与えてはならない」
国会議員、宗教者、学生、市民ら各階層が抗議行動に
米軍装甲車の女子中学生れき殺事件に対する抗議行動は、発生から2カ月経った現在でも衰えるどころか全社会的に広まっている。6月26日に行われた糾弾集会で記者2人に暴行を加え連行したことや、事件の真相究明に誠意を見せない米軍側の対応が、市民らのさらなる怒りを招いている。
5万の市民がアクセス 「装甲車の前に横たわり『僕たちもヒョスンやミソンのようにひいてみろ』と叫んだら、奴らは装甲車のエンジンをかけました。こんなに腹立たしいことがありますか!」 「米軍装甲車女子中学生殺人事件汎国民対策委員会」(汎対委)が、3日ソウルで主催した「刑事裁判管轄権放棄、責任者処罰、ブッシュの謝罪を要求する全国同時進行平和大行進」で、高麗大学校経営大学のラ・インチョル学生会長は怒りで拳を震わせながら米軍装甲車訓練阻止闘争の経過報告を行った。 6月26日、40余の市民団体によって結成された汎対委は、連日のように抗議集会や記者会見、慰霊祭などを開きブッシュの謝罪や事件の真相究明、責任者の処罰などを求めてきた。 汎対委は同月29日からインターネット上で、事件の真相究明と責任者処罰を求める署名運動を展開、1日で3000以上のアクセスがあったという。また7月8日、米軍が検察の捜査に応じなかったことを受けて、汎対委や民族和解自主統一協議会のサイトにも、「大統領の息子でも拘束、捜査する国で、米軍が検察の捜査に応じないのを見ると、自分たちを『国賓』だと勘違いしているようだ」「手のひらで空を覆い隠せないように、捜査に応じないからと真実を隠すことはできない。免罪符を与えないためにも裁判管轄権を取り戻さねばならない」など、およそ5万(7月9日現在)もの市民の声が寄せられた。 一方、米軍の刑事裁判管轄権放棄を含む韓米地位協定(SOFA)の改定や、基地の閉鎖などを求める声も各階層で日ごと高まっている。 韓総連に所属する大学生らは連日のように奇襲デモを展開、5日には慶南民衆および統一連帯の代表らと、鎮海市の米軍基地前で「女子中学生殺害事件の解決と米軍基地閉鎖のための決議大会」を開いた。また、10余の学生団体と一緒に13日を「全国大学生行動の日」とし、ソウルの大学路をはじめとする各地で米国に抗議する大規模集会を予定している。 ソウル大教区京畿北部地区司祭団、天主教正義実現全国司祭団、天主教人権委員会など39の天主教団体も7月29日、記者会見を行うとともに「米軍装甲車事件解決のための天主教対策委員会」を結成。7日にはソウル光化門市民公園で「米軍装甲車事件の正しい解決のための1000人宣言および時局ミサ」を行った。 政界でも反米気運は高く、第3党の民主労働党が7月18日記者会見を行い、「国会レベルで女子中学生死亡事故に対し公式の立場を表明しなければならない」と指摘した。また、ハンナラ党や民主党の議員ら24人も7月26日声明を発表、米軍側に事件に関係した兵士らに対する刑事裁判権に関する立場を表明し、事件調査内容を公開するよう求めた。6日には15人の議員が米大使館を通じブッシュ大統領に書簡を伝達、大統領の謝罪と米軍の刑事裁判権放棄を促した。 態度変えない米軍 米軍に対する非難の声が高まっているのにもかかわらず、米軍側は従来の態度を変えていない。 ラフォート駐韓米軍司令官は7月4日、「事件の責任はすべて米軍にある事を認める」とのコメントを発表したものの、事件の真相究明については依然として消極的な態度をとっている。7月8日にはソウル地検の出頭命令を拒否、その後事前通告なしに7月10日に出頭したが、事実上陳述を拒否している状態だ。また、6月26日にあった集会での2人の記者に対する人権侵害の容疑に関して、国家人権委員会のたび重なる調査要求も拒否し続けている。 7月17日には女子中学生の遺族らに起訴された米軍部隊の責任者が、起訴された直後に出国していた事が明らかになった。また、刑事裁判管轄権の1次放棄時限の7日には、「SOFA規定に基づいて引き続き事件の裁判権を行使する」との文書を法務部に送った。 こうした米軍側の不誠実な対応に対し、7月5日付ハンギョレ新聞(インターネット版)は、「心からの謝罪は言葉だけでなく行動で示さなければならない。つまり徹底した真相調査と現場検証を実施し、なぜ少女たちが道端で惨めに死ななければならなかったかを明らかにすることだ」と、激しく非難した。 汎対委をはじめとする諸団体は、米軍が態度を改めない限りたたかい続けることを表明している。(李松鶴記者) |