それぞれの四季

公園デビュー

「啓先


 最近日本人の友達ができた。彼女たち親子とは公園で知り合った。娘が1歳になり歩き出すようになると、「公園デビュー」が現実の問題として迫ってくる。

 公園はみんなのものなのに、誰がこんな「デビュー」なんてたいそうな名前をつけたのか、なんだか軽い気持ちでは行きにくい。

 ましてや幼稚園から高校まで朝鮮学校に通い、就職先も朝鮮人だらけの環境で暮らしてきた私にとって、日本人だらけの公園は、外国の中の外国だ。それでも娘のために出かけるしかなかった。

 「こんにちは〜。ヒヨンちゃんっていうの。かわいい名前ねぇ」

 同じ年くらいの子供を持つ親としての共通点がそうさせるのか、案外簡単に友達ができた。

 当たり前かもしれないが、私はびっくりした。話してみると普通なのである。朝鮮人の友達となんら変わりのない…。

 過去の日本と朝鮮の関係、在日同胞が受けてきた数々の差別、今なお続く政治家の不用意な発言、それらを考えると日本人=ナップンサラム(悪い人)というイメージをどうしても拭い去ることができなかった。

 でも私は生身の日本人を知らなかった。接してみると結構良心的だし、ユーモアのセンスも悪くない。朝鮮について、在日朝鮮人について知らな過ぎるのにもびっくりしたが、それはお互い様。

 私たちが日本に住んでいく以上、日本人とつき合っていかなくてはならない。ならばより良い関係を築いていくことが大切だと思う。

 そのためにはお互いの知らない部分を埋めていくこと。まずはその一歩を踏み出した。(主婦)

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