取材ノート

米専門家たちの現状分析


 朝・日、朝米外相会談、そして北南閣僚級会談代表実務接触。朝・日は今月中に局長級会談、続いて赤十字会談を開く。朝米は大統領特使のケリー国務省次官補の訪朝で合意し、北南も第7回閣僚級会談開催を詰めた。

 こうした動きが表面化する前の7月中旬、米国の朝鮮問題専門家らと意見交換する機会があった。彼らの意見を総合すると、ブッシュ政権内部は対朝鮮政策について@保守・強硬、A対話・交渉、B対話勢力が3すくみ状態にあるという。

 @を代表するのは国家安全保障会議とペンタゴン、Aは国務省、Bは@の穏健派。その主張はAとBについてはわかると思うが、@は94年の朝米基本合意を含む、あらゆる合意の再検討を提案しているという。ちなみに、対話とは懸案問題をまず話し合うことだけに止め、相手が譲歩してくるなら合意をめざし、交渉は前提なしに合意をめざす、という認識だという。

 昨年の9.11事態後、「テロとの全面戦争」を掲げたブッシュ政権下で@の勢力が勢いを増し、「悪の枢軸」発言や「北体制転換」論はその影響によるものだと解説する。薄氷の勝利だった大統領選挙対策として、保守派の取りこみに重点を置いていることも関係しているらしい。

 彼らは元来、軍需産業などの多国籍資本と表裏の関係にあるブッシュ政権の実務能力に大いなる疑問を持っている。政策が利権の有無で決められるからだ。

 しかし、EUというひとつの極が存在する現在の国際政治状況を考えると、必ず暴走には歯止めがかかると指摘する。実例としてイラク攻撃を上げた。英国ですら懐疑的で、「反対だけはしてくれるな」と説得したという。伝統的な「孤立政策」の打破が逆に足かせになっているようだ。

 朝米対話は楽観できないが、国際政治の仕組みの変化を見ていると、米国も暴走できる状況にない。(彦)

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